“ABC予想証明”の欠陥発見に賞金1.4億円 ドワンゴ創業者の川上さんが設置
数学の未解決問題「ABC予想」を証明する理論の欠陥を指摘できれば賞金1.4億円──一般社団法人日本財団ドワンゴ学園準備会は、そんな取り組みを始めると発表した。
数学の未解決問題「ABC予想」を証明する理論の欠陥を指摘できれば賞金1.4億円──一般社団法人日本財団ドワンゴ学園準備会(東京都中央区)は7月7日、そんな取り組みを始めると発表した。発起人はドワンゴ創業者である川上量生さんだ。
ABC予想は、自然数の足し算と掛け算に関する予想で、この予想を仮定すると数論に関する多くの予想や定理を導けることから、数論における重要な未解決問題として知られる。この問題を証明する理論として、京都大学数理解析研究所の望月新一教授は「宇宙際タイヒミューラー理論」(Inter-Universal Teichmuller, IUT理論)を提唱している。
望月教授がIUT理論の論文を公開したのは2012年。7年半の査読期間を経て、京都大学数理解析研究所が編集する国際論文誌「PRIMS」に2021年に掲載された。IUT理論を巡っては、理論の正しさに懐疑的な数学者が存在する一方、その正しさについて数学的議論は行われていない状態だという。
この理由について、日本財団ドワンゴ学園準備会は「望月教授の理論が巨大であるだけでなく独自性が高く、IUT理論の主張を理解するためには優れた数学者であったとしても、多くの時間と労力が必要とされるため」と説明。賞金を設定することで、この状況の解決を狙う。
賞の名称は「IUT Challenger Prize」。最初に本質的な欠陥を示した論文の数学者に賞金100万ドル(日本円で約1.4億円)を与える。審査は川上さんが個人で行い、審査方法は非公開としている。
この賞以外にも、「IUT理論とその関連分野における新しい重要な発展を含む論文」に賞金2万〜10万ドルを与える取り組みも新設。こちらは24年から10年間毎年選ぶ予定という。
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