サム・アルトマン氏の「Worldcoin」、ケニア当局が虹彩データ収集に停止命令
ケニア共和国は、サム・アルトマン氏による暗号通貨プロジェクト「Worldcoin」提供のための国内での虹彩データ収集に一時停止を命じた。公共の安全に対する潜在的なリスクを評価する必要があるとしている。
ケニア共和国の通信庁とは8月2日(現地時間)、サム・アルトマン氏が共同創業した米業Tools for Humanityによる暗号通貨プロジェクト「Worldcoin」のための国内での「World ID」の提供を一時停止するよう命じたと発表した。公共の安全に対する潜在的なリスクを評価するとしている。
Worldcoinは、「すべての人間に平等に無料の暗号通貨を配布する」ために、球形スキャンシステム「Orb」で申込者の虹彩データをスキャンし、これを一意な数値コードWorld IDに変換する。
Orbによる登録は、日本を含む世界で展開されており、手続きをするだけで25WLDを獲得できる。
ケニア当局は、このシステムで収集される機密データのセキュリティと保管に関する明確さが欠如しており、金銭的報酬と引き換えに虹彩データスキャンの同意を得ていることが誘導的であり、暗号通貨サービス全般における安全性に関する情報が不十分であると指摘している。さらに、適切な枠組みのない民間企業に大量の国民のデータが渡ることにも懸念を表明した。
Kenya Daily Pressによると、1日までに35万人以上が虹彩データを提供したという。
Tools for Humanityのアレックス・ブラニアCEOは同日、「現地規制当局と協力して疑問に対処し続けるため、ケニアでのWorld ID認証を一時停止した。ケニアの皆様、遅れて申し訳ありません。World IDはプライバシーを考慮して構築されている。世界的な展開を継続しながら、業務が再開されることを楽しみにしているツイート)した。
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