VTuberの著作権は誰のもの? “中の人”と“ママ”が知っておきたい、アバターの権利関係:弁護士が解説! VTuberの法律(2/2 ページ)
VTuberの勢いが止まらない。さまざまな企業や個人が注目しているが、悪意を持った第三者がVTuberのアバターを勝手にグッズ化して販売した場合、“誰がどのような対応をすべき”だろうか? シティライツ法律事務所の前野孝太朗弁護士が解説する。
VTuberの“中の人”と“ママ”が知っておくべき契約例
この問題はかなり根深く、残念ながら分かりやすい解決策はありません。2つの利用方法を知った上で、クリエイターとVTuberの両者で話し合う必要があります。ただ、解決のアプローチはいくつか存在しています。
まずは、VTuberとクリエイターの懸念に対応した契約(約束)を行うことです。例えば、著作権譲渡後のイラスト・3Dモデルの改変をクリエイターが懸念している場合なら、「改変については必ずクリエイターに依頼することをVTuberが約束する」ことはあり得ます。
一方、一般的に利用許諾より著作権譲渡の方が対価は高額です。そのため例えば、クリエイター側は、利用許諾と著作権譲渡とでそれぞれ料金を設定して、交渉を行うこともあり得るでしょう。
約束事項がまとまった場合、契約書を作成することが望ましいですが、特に個人間の場合、そこまでは行わないことも多いと思われます。この場合は次善策として、少なくともお互いが約束した事項が分かるメールやメッセージなどを残しておいた方が良いでしょう。例えば、約束事項を箇条書きでまとめて送付し、お互いに確認した証跡を残すと、認識の齟齬が生じにくくなります。
契約書を作成する場合、弁護士などの専門家に相談するのも手ですが、活動前の段階では依頼しにくい場合も多いかと思います。自身で作成するなら、文化庁が公開している「契約書作成支援システム」も参考になるでしょう。
第1回からやや煮え切らない説明となりましたが、この点はアバターに限らず、創作に関する契約全般にも通じる重要な問題でもあり「分かりやすい解決策があるものではない」ということを理解いただければと思います。
VTuberのアバターは、VTuber活動においてまさしく「顔」になります。現在、スキルマーケットサイトなどで簡単に作成依頼も可能ですが、後でつまずくことのないよう、権利関係は明確にしておくことをおすすめします。
ちなみに現在、アバターについては「人間と同様の肖像権やパブリシティー権を認めるべきか」という議論も行われています。こちらは別の機会に紹介いたしましょう。
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