GMOペパボ、「GitHub Copilot」の利用データ公開 AI提案のコード、どれくらい採用?
GMOペパボが、6月7日に導入したAIプログラミング補助ツール「GitHub Copilot」の利用データを公開した。6月7日から7月19日の間にAIが提案したコードの採用率などを明らかにしている。
GMOペパボは8月30日、同社が6月7日に導入したAIプログラミング補助ツール「GitHub Copilot」の利用データを公開した。6月7日から7月19日の間にAIが提案したコードの採用率などを明らかにしている。
コードエディタ「Visual Studio Code」でGitHub Copilotを活用する社内ITエンジニアのデータを集計した。期間中にAIが提案したコードの総数は約81万8000件。このうち、ユーザーがAIの提案をそのまま採用したのは全体の約28%に相当する約24万6000件だった。
「(採用されたコードの)総行数は3万5000行。採用後に修正されるケースも多々あると思われるが、1カ月弱で3万5000行のコードを書く時間と手間を削減できたと考えると、期待する効果が得られているのではないか」(同社)
言語別の採用率も公開した。例えばRubyでは5454件(採用率28.7%)、Goでは3606件(同40.5%)、TypeScriptは2066件(同33.2%)、Pythonは2064件(同35%)、PHPは679件(同24.2%)を採用していた。
「GMOペパボの多くのサービスは、PHP、Ruby、Go、TypeScriptなどで開発されているので、Ruby、Go、TypeScriptが提案数で上位にいるのは納得感がある。PHPについては、PhpStorm(PHP開発者向けの統合開発環境)を利用しているエンジニアが多く、利用が少なくなっている可能性が高い。また、Rubyの採用率が低いのは興味深い。Rubyは言語の表現力が高いために、Copilotの提案がプロダクトの規約や個人の好みに沿わないことが多いのかもしれない」(同社)
ただし、GMOペパボが導入しているビジネス版「Copilot for Business」では、エンジニア個人のGitHubアカウントをひも付ける形での利用が必要なので、全てが業務上のデータとは限らないという。
デプロイ(開発した機能などを利用可能な状態にすること)がどれだけ早くなったかも明らかにした。例えばあるサービスの場合、GitHub Copilotの導入前の1月から6月10日までは、1日当たりの平均デプロイ回数は0.8回だった。しかし導入後は2.4回まで向上。別のサービスでも、もともと2.8回だったところ3.3回まで向上したという。
同社は一連のデータについて「新ツールの導入においては、コストパフォーマンスという観点を避けて通ることはできない。GitHub Copilot for Businessにおいては、一人当たり月額19ドルというコスト分の生産性向上が見込めるかが問題になる。あくまでも計測途中だが、現時点でのデプロイ頻度の向上と、GitHub Copilot自体の進化、今後のノウハウの共有を考慮すると、十分な効果があると感じている」としている。
GitHub Copilotは、コードの一部を入力するとAIが続きを提案してくれるサービス。GMOペパボだけでなく、サイバーエージェントや東急、ZOZOなども導入している。ビジネス版では、入力したコードが学習に使われないようにしたり、ライセンスの侵害につながるコードの提案を減らしたりと、AI活用によるリスクを低減する機能も提供している。
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