推し活ブームで“いにしえのオタク”は肩身が狭い?:NEWS Weekly Top10
先週のアクセストップは、三省堂の「オタク用語辞典 大限界」の内容について議論が起きているという記事だった。斬新な企画を評価する声が上がる一方、暗黙の了解などを「軽視している」といった意見も集まり炎上状態になった。
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2023年10月21日〜10月27日今朝は急に冷え込み、一瞬で秋が終わってしまいそうな気配ですね。体調を崩している人も多いようです。みなさまお加減はいかがでしょうか?
さて、先週のアクセストップには、三省堂の「オタク用語辞典 大限界」の内容について議論が起きているという記事だった。この本は、「最新のオタク用語がわかる!」を惹句に、「限界オタク」「キュン死」「きゃわわ」などオタク用語を約1600項目集め、解説や用例を加えたものだ。
斬新な企画を評価する声が上がる一方で、用例で実在のキャラクターなどを使用しながら、暗黙の了解や言外のルールのようなものを「軽視している」といった意見も集まり炎上状態に。三省堂が「可能な限り改善する」と声明を出す事態に発展した。
「オタクの地位が上がったなあ……」。この本を巡る騒動を見ながら、平成初期のオタクだった筆者は感慨深かった。
筆者は1990年代初頭当たりからオタクだったと思う。最初にハマったアニメは「ふしぎの海のナディア」(1991年)だ。毎回リアタイで見て、アニメ雑誌を買って知識を深め、イラストを描き、お小遣いをためてアニメイトに通って文具やキャラソンCDなどを購入。声優ライブにも1人で通う中学生だった。
高校生になると、自分自身の行動が客観的に見て「痛い」ことが分かりはじめ、オタクっぽさを隠そうと思うようになった。できるだけこざっぱりした格好をして、アニメ以外にことに打ち込んで……と、大学生にかけて“脱オタ”に努力した。
社会人として中堅に差し掛かった2010年代、オタクが急速にカジュアル化。オタクを自称することが恥ずかしいことではなくなった。2020年代には「推し活」がブームになり「誰かを推したい」「おすすめの推しを教えてほしい」という言説まで見るように。好きなものを好きと言えず、コソコソ隠れていた30年前がうそのようだ。
さらに、オタ活……今で言う推し活は、以前よりお金がかかる(お金をかける)ようになったと感じる。というか「推しに課金する」ことが、現代の推し活の前提だ。愛するコンテンツを追求したその先に、欲しいグッズを吟味して買うのではなく、愛しているならまずグッズを買う。「愛の量を示すために課金する」という空気を感じる。
最近は、グッズや課金手法のバラエティが豊かすぎて圧倒されるほどだ。アーティストのライブやスポーツ観戦に行くと、高額な席に座り、大量にグッズをそろえている若い人をたくさん見るようになった。
例えば先日、バレーボール男子日本代表の試合(五輪最終予選/OQT)を観戦に行った時は、アリーナ席を中心に、グッズTシャツ(4950円)を着たり、公式マフラータオル(2400円)を持った女性でいっぱいになっていて、たまげた。筆者は20年ほど前からバレーボール日本代表戦を観戦し続けているが、こんなに“グッズだらけ”の会場を見たのは初めてだ。
男子代表は数年前まで弱かったこともあり、以前は会場に空席が目立っていた。だがここ数年で急速に強くなるとともに、各選手のファンも激増。今年のOQTは全日程、満席になった。
会場には、最近ファンになった人が多かったようだ。筆者は今回、奮発して1万2000円のアリーナ席を購入したのだが、同じエリアや、さらに高い1万8000円のスーパーシートに若い女性がたくさんいて驚いた。いい席ほどグッズTシャツ着用率が高く、チケット代とグッズ代、あわせて2万円以上かけている人が多そうだった。一方筆者は“古参”のファンだと思うが、今回買ったのはパンフレットだけ。応援グッズは何も購入していない。
推し活は「買う」=「応援」という等式が成り立っているような気がするのだが、筆者は歳のせいか、買うことと応援がいまいちリンクしない。好きな対象を研究・分析することが楽しく、グッズは少しあればいい。グッズ、置くとこないし……。
でも“運営”にとっては、小難しい顔で分析を語るファンより、グッズをたくさん購入して会場の雰囲気を盛り上げてくれる若い推し活ファンのほうが、うれしいのかもしれない。
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