全銀ネット障害、根底に“開発体制の不備”か NTTデータの見解
10月に発生した全銀ネットの障害をめぐり、システム構築を担当したNTTデータが11月6日に謝罪会見を開いた。
10月に発生した全国銀行データ通信システム(全銀ネット)の障害をめぐり、システム構築を担当したNTTデータが11月6日に謝罪会見を開いた。NTTデータグループの経営陣は、開発体制に不備があった可能性に言及し、総点検を行う考えを示した。
今回の障害では、三菱UFJ銀行やりそな銀行など10行、2日間で約506万件の取引に影響があった。そして現在も暫定措置のまま運用中だ。NTTデータグループ(持ち株会社)の本間洋社長は、全銀ネットの障害で預金者や金融機関に迷惑をかけたと謝罪した。
直接の原因については、10月18日に全銀が説明した内容と同様。システム移行直後に中継コンピュータのシステム上で銀行間取引手数料の入力とチェックを行った際、メモリ上に展開したインデックステーブルが破損していたため、中継コンピュータが異常終了したと説明している。
NTTデータの佐々木裕社長は「動作していたアプリケーションに原因があったのではなく、参照する共有メモリ上に展開されたデータが一部壊れていたため、異常終了を引き起こした。環境構築時にテーブルを生成するプログラムに不備があった」とシステム稼働の前段階に原因があったと話している。
当然、生成プログラムの開発時にも同社が規定する各種試験を経ていたが、佐々木社長は「不具合が発生したことで、そのプロセスの中に課題があったことになる」と指摘。「生成プログラムの不具合がなぜ混入したのか。なぜ事前のチェックで見つからなかったのか」。
さらには移行方法は適切だったのか、障害発生時の対応は適切だったのかと、より根本的な部分にも言及。問題の根底に自社の開発/運用体制に行き届かない部分があった可能性を示唆した。
NTTデータは、再発防止のために本間洋社長を総責任者とする600人規模の調査班「システム総点検タスクフォース」を設立し、全銀ネットのみならず過去に構築したシステムを含めて総点検を行う考え。金融決済系や勘定系などミッションクリティカルなシステムを含め100〜200件が対象になるとみている。
全銀ネットの障害については11月末に金融庁に最終報告をする方針で、より詳細な原因究明を進める。NTTデータの賠償責任や業績への影響については「全銀ネットと協議の上で対応する。業績への影響はまだ見通していない」と話した。
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