もはやチート級 ソニー「α9 III」発表、世界初「グローバルシャッター」搭載 連写は秒120コマ
ソニーは11月7日、新型ミラーレスカメラ「α9 III」を海外発表した。フルサイズミラーレスで世界初となるグローバルシャッターを搭載し、電子シャッターながら歪みゼロを実現した。市場想定価格は88万円。
ソニーは11月7日、新型ミラーレスカメラ「α9 III」を発表した。フルサイズミラーレスで世界初となるグローバルシャッターを搭載し、電子シャッターながら歪みゼロを実現した。市場想定価格は88万円(米国では税別5999ドル)で、2024年1月26日に発売するという。
α9 IIIは、2460万画素の積層型裏面照射センサー「Exmor RS」を採用。画像処理エンジンは「BIONZ XR」で、最高約120コマ/秒(AF/AE追従)のブラックアウトフリー連写に対応。高精度な被写体追従を実現するAIプロセッシングユニットも搭載しており、被写体を逃さずシャッターチャンスを狙うことができる。ボディ内手ブレ補正は8.0段を実現した。
大半のイメージセンサーでは電子シャッターにローリングシャッター方式を採用している。これは画素のラインごとに信号を読み出す方式で、高速な被写体を撮影すると「ローリングシャッター現象」と呼ばれる、像が歪む現象が起きてしまう。これまでのα9シリーズでは、センサーの読み出し速度を高速化することで像の歪みが少ない電子シャッターを実現していたが、ローリングシャッター現象を完全に防ぐことは構造上難しかった。
これに対し、グローバルシャッターは全ての画素を同時に読み出すことで、像の歪みが全くない撮影を実現する。しかもラインごとに画素を読み出すローリングシャッターでは難しかった、全シャッタースピードでのフラッシュシンクロを実現。α9 IIIでは「HVL-F60RM2」「HVL-F46RM」を使うことで、最大1/8万秒という超高速シャッターでもフラッシュとの同調撮影を可能にした。
グローバルシャッターは動画にも威力を発揮する。一部のハイエンドシネマカメラではグローバルシャッターを搭載したものも存在するが、民生用カメラでも全く歪みのない動画が撮れるようになる。α9 IIIは前モデルで手薄だった動画機能も強化。α初のクロップなし4K120p、6Kオーバーサンプリングに対応した4K60p、10bit 4:2:2 ALL-I、16bit RAWのHDMI出力、S-Cinetone/S-Log 3に対応。手ブレ補正も動画用に強化されている。
ボディーのグリップは、望遠レンズや長時間撮影でも負担が少ない人間工学に基づいたものを採用。液晶モニターは4軸マルチアングル液晶モニターを採用し、EVFは約944万ドットのOLEDパネルを採用。倍率0.90倍を実現している。メモリカードスロットはSD/CFexpress Type-Aのデュアル仕様、USB Type-CポートはPDの高速充電に対応する。その他、コンテンツの来歴を追える「C2PA」フォーマットも利用可能だ(α1、α7S IIIにも後日アップデートで対応予定)。
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