“改悪”続きで「脱・楽天経済圏」の声も 「証券会社の引っ越し」で知っておきたい、注意点と候補先(4/4 ページ)
楽天ポイントの付与条件が変更になることで、ユーザーによっては付与率が悪化する、いわゆる"改悪”は、楽天経済圏のもはや風物詩だ。11月1日にも、SPU(スーパーポイントアッププログラム)の改定により、特に楽天カードのヘビーユーザーの条件が悪化した。
証券会社が倒産しても顧客資産は守られる
ここまで、もし楽天証券から引っ越すなら? という前提で方法や候補を見てきたが、もし「楽天証券が潰れるのが心配だ」という理由で引っ越しを考えているのなら、いったん冷静になったほうがいい。証券会社というのはそうそう簡単に潰れるものではないからだ。
まず証券会社は上場していなくても、財務の健全性を測る指標である「自己資本規制比率」の公開が定められている。そして法律で「自己資本比率の120%維持義務」が定められており、それを下回ったときには金融庁は監督命令を発することができる。つまり顧客に迷惑がかからないよう、金融庁が指導に入るということだ。
では楽天証券の自己資本比率がどのくらいかというと、2023年6月末時点で341%。これはSBI証券の332%よりも高く、大手の野村(306%)やSMBC日興(309%)などと比べても高い。
いくら楽天グループや楽天モバイルの業績が厳しくても、楽天証券は別会社であり金融庁から経営の安定性を求められている。直近の2023年12月期第3四半期(1月〜9月)の営業利益は前年からほぼ倍増し、240億円に達している。厳しい競争をしながらも、業績面では倒産の危険は特段ないと考えていい(9日にはみずほFGが楽天証券への870億円の追加出資を発表。出資比率も49%に引き上げられる)。
そしてもしも楽天証券が倒産しても、基本的に顧客の資産は守られる。そもそも証券会社は顧客の株を預かっていない。楽天証券で株を買っても、その株は楽天証券にあるのではなく、ほふり(証券保管振替機構)にあるからだ。証券会社にある現金も同じで、楽天証券の口座にあるのではなく信託銀行の口座に分けて管理されている。これらを分別管理といい、証券会社は顧客のお金や株を勝手にいじれないようになっているわけだ。
もちろんそれでも、証券会社が不正をしたら分別管理も意味を持たない。金融庁の厳しいチェックにもかかわらず、顧客資産を横領し、不適切な会計を続けていた……。もしもそんなことが起きたら、さすがに預けている株は戻ってこない。
しかしこんな状況でも、投資家を保護する仕組みが設けられている。日本投資家保護基金だ。
万が一、何らかの事情で証券会社が破綻し、分別管理の義務に違反したことによって、お客さまの資産の返還が円滑に行われない場合には、返還できないお客さまの資産について、当基金がお客さま一人当たり上限1000万円まで補償を行います。(引用:日本投資家保護基金)
そんなわけで、楽天グループがモバイル事業の赤字に苦しんでいるのは事実だが、それをもって楽天証券が危ないとか不安だとか過度に思う必要はない。その上で、証券会社を乗り換えるのなら、ここに挙げた方法や注意点が参考になるのではないだろうか。
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