NVIDIA、生成AI向け半導体供給で日本に「全面協力」 日米の連携加速
日本が米半導体大手NVIDIAから、生成AIの開発に使えるGPU(画像処理半導体)の供給について全面的な協力を取り付けたことが11月14日、分かった。経済産業省が13日に米西部サンフランシスコで開いた、AIや次世代半導体関連の日本と北米の企業首脳による懇談会で意向を確認した。
日本が米半導体大手NVIDIAから、生成AIの開発に使えるGPU(画像処理半導体)の供給について全面的な協力を取り付けたことが11月14日、分かった。経済産業省が13日に米西部サンフランシスコで開いた、AIや次世代半導体関連の日本と北米の企業首脳による懇談会で意向を確認した。懇談会ではAIの活用に関する議論も行われ、この分野での日米の連携が生産・開発から活用へと広がってきた。
懇談会は日米が主導する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)の閣僚会合に合わせて開かれた。あらゆる電子機器に使われる半導体は、供給が滞れば製品が作れなくなるなど、経済安全保障の観点でも重要で、米中による覇権争いが先鋭化する中、有志国で連携の動きが加速している。
特にNVIDIAが設計するGPUは、膨大なデータを効率的に処理できるのが特長で、米Googleや米Microsoftなども採用。世界中で争奪戦が起きている。西村康稔経産相は周辺に「全面的に協力するとの約束を得た」と漏らしており、日米間の連携を深めていく考えだ。
ラピダスは米国進出
懇談会では日米の連携について、他の経営トップからも前向きな表明が相次いだ。ラピダスの小池淳義社長は顧客開拓のため、年内にも米西海岸に事業拠点を開設する計画を明らかにした。
ラピダスは米IBMと協力し最先端半導体を開発中だ。2027年の量産を目指し、25年には試作を始める。この計画に対し、カナダのAI半導体開発の新興企業からは、AIの設計分野で協力する方針が示された。
また、Microsoftからは日本国内でのAIガイドライン策定に協力する意向が示された。
半導体売上高3倍に
経産省は国内で生産する半導体分野の売上高について、20年の約5兆円から、30年には15兆円に引き上げる目標を掲げる。こうした取り組みに、欧米の最先端技術を結集させることで、「スピードが命」といわれる半導体の開発競争を勝ち抜く戦略だ。懇談会に出席した西村経産相は「日本でのAIの開発、利活用の加速に向けた大きな一歩になった」と語った。(米沢文、坂本一之)
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