KADOKAWAは12月5日、2024年1月に発売予定だった書籍「あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇」の刊行を中止すると発表した。書名や、発行前に公表された概要について、Xなどで議論や批判が起き、発行中止を求める声も出ていた。
同社の学芸ノンフィクション編集部は「タイトルやキャッチコピーの内容により結果的に当事者の方を傷つけることとなり、誠に申し訳ございません」と謝罪している。
同書は米国で2020年に発行された、「Irreversible Damage: The Transgender Craze Seducing our Daughters」(回復不能なダメージ: 娘たちを誘惑するトランスジェンダーの流行)を翻訳したもので、著者はジャーナリストのアビゲイル・シュライアー氏。50家族・200人に取材した結果をまとめた内容で、米国で12万部を突破したという。
日本版書籍の紹介には「差別には反対。でも、この残酷な事実(ファクト)を無視できる? ジェンダー医療を望む英国少女が10年で4400%増! 米国大学生の40%がLGBTQ!」「幼少期に性別違和がなかった少女たちが、思春期に突然“性転換”する奇妙なブーム」「学校、インフルエンサー、セラピスト、医療、政府までもが推進し、異論を唱えれば医学・科学界の国際的権威さえキャンセルされ失職。これは日本の近未来?」「これは、ジェンダー思想(イデオロギー)に身も心も奪われた少女に送る、母たちからの愛の手紙(ラブレター)」などと書かれていた。
KADOKAWAには、刊行の告知直後から、多くの人からその内容と刊行の是非について様々な意見が寄せられたという。「ジェンダーに関する欧米での事象等を通じて国内読者で議論を深めていくきっかけになればと刊行を予定しておりましたが、タイトルやキャッチコピーの内容により結果的に当事者の方を傷つけることとなり、誠に申し訳ございません」と謝罪し、「編集部としてこのテーマについて知見を積み重ねてまいります」と述べている。
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