NASAの「ボイジャー1号」でシステム障害 エンジニアが「数十年前に書かれた資料」と格闘中
米NASAは、惑星探査機「ボイジャー1号」のコンピュータに問題が発生していると発表した。探査機に搭載された3つのオンボードコンピュータのうち、「FDS」(フライトデータシステム)で発生したもので、エンジニアが解決に動いているという。
米NASAは12月12日(現地時間)、惑星探査機「ボイジャー1号」のコンピュータに問題が発生していると発表した。探査機に搭載された3つのオンボードコンピュータのうち、「FDS」(フライトデータシステム)で発生したもので、エンジニアが解決に動いているという。
FDSは、観測装置といった科学機器からのデータと探査機の状態に関するデータを収集するもので、ボイジャー1号では、これらを1つのパッケージにまとめて「TMU」(テレメトリ変調ユニット)経由で地球に送信している。
NASAによると、最近TMUが「行き詰まった」かのように、1と0の繰り返しパターンを送信するようになったという。ボイジャーチームの調査により、探査機は地球から送られたコマンドを受信して実行しているものの、FDSがTMUと正しく通信できていないことが判明。チームはFDSを再起動し、問題発生前の状態に戻そうと試みたが、依然として有用なデータは送信されていないという。
ボイジャー1号は1977年に打ち上げられており、双子のボイジャー2号とともに、歴史上最も長く運用されている探査機である。トラブルの解決には「現在発生している問題を予期していなかったエンジニアが書いた、数十年前のオリジナルの文書を参照する必要がある」としており、送る新しいコマンドが探査機の動作にどのような影響を与えるかを精査する必要があることから、問題解決のための計画策定までに数週間かかる見込みという。
現在、ボイジャー1号は地球から240億km以上離れた場所にあり、地球から最も遠い位置にある人工物として知られる。地球から送信されたコマンドがボイジャー1号に届くまで片道で22.5時間掛かるため、エンジニアがコマンドを送信して結果を確認するまで合計45時間が必要になるとしている。
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