Google Newsは“パクリ記事”だらけ? 生成AIも悪用 検索でも上位に、米メディアが実態指摘
他社から盗用した“パクリ記事”が、米Google Newsに大量にまぎれ込んで検索結果の上位に表示されている――。調査報道を手掛ける米メディア「404 Media」がそんな実態を告発した。
他社から盗用した“パクリ記事”が、米Google Newsに大量にまぎれ込んで検索結果の上位に表示されている――。調査報道を手掛ける米メディア「404 Media」がそんな実態を告発した。他媒体の記事に“少しだけ手を加えただけの記事”や、生成AIを使ったものも少なくないようだ、
AIを使った記事作成自体はGoogle Newのポリシー違反ではない。しかし「Googleは、品質や独自性とは無関係に誰でもコンテンツを量産できてしまうコンシューマーAIの時代にNewsサービスを対応させることができてないのかもしれない」と404 Mediaは指摘。そもそもGoogle News検索の仕組み自体が不明瞭で、そうした記事は今後さらに増える可能性があると予想している。
他媒体の記事に“ほんの少しだけ手を加えて”掲載
盗用の一例として404 Mediaが挙げたのは、広告だらけの「Worldtimetodays.com」というWebサイトが掲載する記事だ。例えば映画「スター・ウォーズ」のファンを話題にした記事は「Distractify」というエンタメ情報サイトに前日掲載された記事にほんの少し手を加えただけの内容で、筆者の写真まで同じだった。
他にも、ニュースサイト「Heavy.com」からの明らかな盗用と思われる別の銃撃事件に関する記事も、写真やクレジットも含めてそのまま流用していた。Worldtimetodays.comの著者は24時間の間に1人で40本以上の記事を公開していたという。
こうした盗用記事はいずれも、Google Newsで特定の単語や期間を指定して検索すると、結果ページの上位に表示されたという。
Heavy.comの編集長は404 Mediaの取材に対し、今回の記事に限らず、コンテンツを大量に盗用しているWebサイトが他にも多数存在していることを明らかにした。
生成AIを使って“記事をコピー”
また、盗用と思われる記事を掲載していた「Examiner.com」というWebサイトのドメインは、かつて正規のニュースサービスに利用されていたが、その後何度もオーナーが変わっていたことが分かった。
こうしたWebサイトの記事はAIが普及するずっと前からGoogle Newsに採用されていて「生成AIを使ってコンテンツを作れるようになってからも、そのまま表示され続けているのではないか」と404 Mediaは推測する。
Examiner.comなどのサイトが、同じ見出しや画像を使った記事を、毎日何本も連続して公開しているのも見つかった。Examiner.comは問い合わせに対し、AIを使って他人の記事をコピーしていることを認めたという。
同じくGoogle Newsの検索結果に表示された「PiPa News」という媒体の記事は、見出しから体裁まで米大手メディア「CBC News」の記事に酷似していた。CBC Newsは「記事の無断使用が増えており、メディア監視や削除要請などを通じてこのトレンドを食い止めようと努めている」と404 Mediaにコメントしている。
この問題を巡って、米大手大衆紙「New York Post」も、自分たちの独自記事の盗用を確認し、Google News検索で盗用記事の方が上位に表示されたと伝えた。問題の記事はその後削除された。
パクり記事の台頭に、Googleの説明は?
Google側はこの問題に関してXにコメントを投稿。404 Mediaの創設者ジェイソン・コーブラーさんの投稿に対し、Google検索に関する公式アカウント「Google SearchLiaison」のアカウントから返信。「Google NewsはAIコンテンツを検索結果の上位に『浮上させている』わけではない」と強調した。
その上で、AI生成コンテンツの使用については「コンテンツの制作ではなく、品質を重視している」と説明。「完璧な自動化システムは存在せず、われわれのデフォルトのランキングシステムが質の低いコンテンツを表示しないとはいえない。われわれは常に、質の高い独自のジャーナリズムが成功を収めるよう改善に努めている」とした。
「ジャーナリストが執筆した自分たちの独自記事がGoogle Newsに掲載されない」と404 Mediaが訴えたことについては「新しい媒体の記事をわれわれのシステムが認識して浮上させるには時間がかかる」と説明した。
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