アリババからAIへ、シフト鮮明に 四半期ベース黒字転換を果たしたソフトバンクG
ソフトバンクグループの第3四半期に純利益9500億円と黒字転換を果たした。後藤芳光CFOは「久しぶりの四半期ベースの黒字。ほっとしている」と安堵の表情をみせた。
ソフトバンクグループは第3四半期(2023年10-12月期)に純利益9500億円と黒字転換を果たした。通期(4〜12月)ではいまだ4587億円の赤字だが、8日の会見に登壇した後藤芳光CFOは「久しぶりの四半期ベースの黒字。ほっとしている」と安堵の表情をみせた。
黒字をけん引したのは、過去4四半期にわたって赤字続きだった投資損益の大幅な改善だ。後藤CFOは、主要な投資先の1つであるARMの好決算をはじめ、T-Mobileとスプリントの合併に伴う1兆1000億円相当のT-Mobile株式無償取得(条件付き対価の条件が満たされた)といった第3四半期のトピックを紹介した。
一時は大きくマイナスにふれた「ビジョン・ファンド」(SVF)についても、「累積投資損益は改善が続き、もうすぐ黒字になる」と状況を報告。SVF2はまだ190億米ドルのマイナスだが、SVF1は167億米ドルのプラスで、全体としては復調傾向にある。「(ステークホルダーに対する)一番のメッセージはパフォーマンスだが、それはまだ。長い目でみてほしい」。
アリババ株は「実質ゼロ」
一方、同社がここ数年で大きく保有株数を減らしたのがアリババを筆頭とする中国株式だという。19年末時点では同社の保有資産の50%を占めていたアリババ株だったが、23年末時点ではわずか0.02%と「実質的にゼロ」(後藤CFO)。中国株全体も同期間に54%から8%まで減っている。
対照的に、32%まで増えたのが前述のARM株だった。後藤CFOによると、これは「中国集中リスクの緩和と同時に、ARMを中核とするAI分野へのシフトを意味する」という。
「ARMの業績は非常に順調だ。チップの累計出荷数は23年9月までで2800億個を超え、ルネサス エレクトロニクスやMedia Tek、Microsoftといった業界のリーダー的企業との戦略的提携も進展している。AI産業の発展とともに成長してくれると大いに期待している」。
なお質疑応答では、会見に姿を見せなくなった孫正義社長(代表取締役 会長兼社長)の様子をたずねる質問も出てきた。後藤CFOによると「心配されるまでもなく、毎日とんでもなく忙しく過ごしている。会社には来ている」という。
深津貴之氏 × サイバーエージェントが語る生成AIの活用方法
AIの業務利用やLLMの自社開発などが加速する一方で、すぐに成果が出ないなど難しさがあります。企業は生成AIをどう活用すればいいのか――深津貴之氏と、独自LLMを開発したサイバーエージェントの毛利真崇氏が対談したイベント「ITmedia デジタル戦略EXPO」をこちらから無料でご視聴いただけます。
- イベント「ITmedia デジタル戦略EXPO 2024 冬」
- 2024年1月30日(火)〜2月25日(日)
- 無料でご視聴いただけます
- こちらから事前登録してご視聴ください
- 主催:ITmedia NEWS、ITmedia ビジネスオンライン
関連記事
- 米WeWorkが破産法申請 ソフトバンクグループが出資
ソフトバンクグループ(SBG)が出資するシェアオフィス大手の米WeWorkが11月6日(現地時間)、米連邦破産法11条の適用を申請した。高額なリース費用や在宅勤務に伴う法人顧客の解約が響いた。 - ソフトバンクG傘下のArm、公開価格は1株51ドルで時価総額およそ540億ドルに
ソフトバンクG傘下のArmは、Nasdaq市場への公開での株式価格を1株当たり51ドルと発表した。48億7000万ドルを調達する。IPOは14日の予定だ。 - WeWorkは「熟せばもうかる」 ソフトバンクG孫社長、「創業以来の大赤字」も立て直しに意欲
ソフトバンクグループの孫社長は、決算説明会で「今回の決算はボロボロ」「WeWorkの影響が大きい」と発言。「大いに反省」としながらも、立て直しに意欲を見せる。 - 孫正義氏、Armに注力へ 決算会見に今後登壇せず 「爆発的成長に私は没頭する」
ソフトバンクグループ(SBG)は11月11日、2023年3月期第2四半期決算を発表した。質疑応答含め決算会見で自らプレゼンを披露してきたSBGの孫正義氏だが、今期の決算会見限りで壇上を降りると明らかにした。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.