WeWorkは「熟せばもうかる」 ソフトバンクG孫社長、「創業以来の大赤字」も立て直しに意欲
「今回の決算はボロボロ。真っ赤っかの大赤字で、直近3カ月でこれだけの赤字を出したのは創業以来ではないか」──ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義社長(兼会長)は11月6日の決算説明会の冒頭、神妙な面持ちでそのように切り出した。同社が巨額投資をしている、「WeWork」の運営会社The We Company(We社)の企業価値見直しが響いた。孫社長は「大いに反省」としながらも、立て直しに意欲を見せる。
「私の投資判断がマズかったと反省」
2019年4~9月の連結決算は、売上高が4兆6517億円と前年同期比で横ばい、営業損益は156億円の赤字(前年同期は1兆4207億円の黒字)に転落。最終利益は4216億円(同49.8%減)と振るわなかった。
孫社長は「売り上げは(昨年と比べて)変わらないが、営業利益はこれまでけん引役だったソフトバンクビジョンファンドの事業が真っ逆さまに落ち、昨年の利益(6324億円の黒字)と同等額の損失(5726億円の赤字)を出した。We社の影響が大きい」と説明する。
We社は8月に米証券取引委員会にIPO(新規株式公開)を申請した際、19年上半期に約9億400万ドル(約979億円)の純損失を計上していることが発覚。創業者のアダム・ニューマン氏の自己取引疑惑、薬物使用疑惑も浮かび上がり、同氏は9月24日にCEOを辞任。We社はIPO申請を同30日に撤回した。
こうした事情から、We社の株式価値は1月時点の約470億ドル(約5兆1000億円)と比べると、9月末には約78億ドル(約8500億円)に下落。孫社長は「私自身の投資判断が、いろいろな意味でマズかったと大いに反省している」と厳しい表情を見せた。
一方で、保有株式の価値から純負債を差し引いた株主価値が、四半期で20.9兆円から22.4兆円に増えたこと、ビジョンファンドは累計で1.2兆円の利益を上げていること──という2点を強調。「多くの人は信じたくないだろう。いくら私が説明しても『違うだろう』と思うかもしれないが事実だ」とアピールした。
WeWorkは「熟せばもうかる」
SBGは10月23日に、We社に計95億ドル(約1兆308億円)の金融支援を行うことを発表。この中には、20年4月に予定していた出資の前倒し分15億ドル(約1627億円)も含まれる。この前倒し分については、行使価格を当初予定の1株当たり110.0ドルから11.6ドルに引き下げ「安く仕入れる」という。
孫社長は「既に投資している株式価値が高すぎたと反省している。15億ドル分の契約は反故(ほご)にはできないため、どのように見直すかを苦慮した」と話す。「沈みゆくWeWorkを救済するため、泥沼に踏み込んだとみる人が大半かもしれないが、われわれは取得価格を大きく下げた」(同氏)
その上で、We社を立て直すと豪語。「We社の赤字が、年々急拡大しているのは事実。粗利が低く、経費が高いことが背景だ。シンプルに粗利を上げ、経費を下げることで立て直せる」という。
SBGの調査結果によると、WeWorkのオフィスは開業から13カ月以上たつと稼働率が上がり、高収益を生み出すが、開業から半年間ほどは稼働率が低く経費がかさむ。現時点では、この開業間もないオフィスが全体の4割ほどを占めるため、収益化に時間を要するという。「熟していない酸っぱいリンゴがたくさんある。熟せばもうかる」
そこで、新規オフィスの建設を一時停止し、多くのオフィスが収益を稼げる段階になるまで待つ──というのが、孫社長の考えだ。経費削減、We社の不採算事業の整理も進める。
孫社長は「これまでソフトバンクは、Vodafone、日本テレコム、Sprintなど、難しい再建を成功させてきた自負がある。We社もシンプルなロジックで改善でき、健全な利益を保ったまま、立派に価値を上げることができる」と意気込んでいる。
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