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ソフトバンクG、苦境WeWorkに約1兆円の支援 過半数の議決権は持たず関連会社化

» 2019年10月23日 18時01分 公開
[ITmedia]

 ソフトバンクグループ(SBG)は10月23日、出資先でコワーキングスペース「WeWork」を運営するThe We Company(We社)に計約95億ドル(約1兆308億円)の金融支援を行うと発表した。

 内訳は、新規の出資が約50億ドル(約5426億円)、We社の既存株主を対象とした株式公開買い付けが最大約30億ドル(約3255億円)、2020年4月に予定していた出資の前倒し分が約15億ドル(約1627億円)。

 SBGのWe社株式に対する経済的持分比率は最大80%になる予定だが、SBGは過半数の議決権を保有せず、We社を支配しない。そのため同社はSBGの子会社ではなく関連会社となる予定。

photo ソフトバンクグループによる発表

 取引完了後は、SBGのマルセロ・クラウレ副社長がWe社取締役会のエグゼクティブ・チェアマン(議長)に就く。We社創業者のアダム・ニューマン氏はオブザーバーとして参加し、同氏が持つ議決権は取締役会に委ねられる。

 We社は8月に米証券取引委員会にIPO(新規株式公開)を申請したが、公開したIPO申請文書によって、19年上半期に約9億400万ドル(979億円)の純損失を計上していることが発覚。これを機に、企業構造の問題点やニューマン氏の薬物使用疑惑なども取り沙汰され、同氏は9月24日にCEOを辞任。We社はIPO申請を9月30日に撤回した。

 We社の共同CEO、アーティ・ミンソン氏とセバスチャン・ガニングハム氏は「今回調達した資金は、メンバーやビルオーナーにとって最適なパートナーになるという目標を実現するのに十分な財源となると同時に、株主や従業員に成長と資本リターンをもたらす基盤となる」とコメント。

 SBGの孫正義社長は「We社が直面したように、世界をリードするテクノロジーの革新者が成長の過程で困難を経験することは珍しいことではない。同社に対するわれわれの確信は変わらず、大規模な資本注入とオペレーションのサポートを提供し、コミットを強化する」とコメントしている。

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