AIの軍事活用プロジェクト「TITAN」でPalantirが米陸軍から1億8000万ドルの契約獲得
Palantir Technologiesは、AI活用の攻撃目標ターゲティングシステム「TITAN」の契約を米陸軍から獲得したと発表した。長距離精密射撃までの時間を大幅に短縮できるシステム搭載の軍事車両の開発を進める。
米Palantir Technologiesは3月6日(現地時間)、AIと機械学習を活用した米陸軍の新しいターゲティングシステム「TITAN」(Tactical Intelligence Targeting Access Node)の開発と納入で、1億7840万ドルの契約を受注したと発表した。TITANは、宇宙から地上までの各種センサーからのデータを統合し、攻撃目標の自動認識や正確な位置特定を行う地上局システムだ。
TITANでは、AIによるターゲット認識と複数センサーの統合で、ターゲットを迅速に特定し、長距離精密射撃までの時間を大幅に短縮できるようになる。
Palantirは発表文で、「これまで数年にわたり、AI活用能力を戦闘員に提供してきた経験を活かし、米陸軍初のAI定義車両を提供できることを誇りに思う。兵士には、実時間で重要な決断ができるよう、戦場での戦術的優位性を与える最高クラスの技術が必要とされている。Palantirはこのプログラムを支援し、米陸軍とのパートナーシップを継続して次世代の能力を構築できることを光栄に思う」としている。米国防総省によると、「完成予定日は2026年2月28日」。
Palantirの共同創業者でCEOのアレックス・カープ氏は米Bloombergとのインタビューで、TITANは2017年に国防総省が立ち上げた軍用AIプロジェクト「Project Maven」の延長上にあると語った。Palantirは2019年にもAIシステム関連の約1億ドルの契約を獲得している。
Project Mavenには当初、米Googleが関わっていたが、AIを戦争に利用することについて、社内から倫理的な問題があると批判され、2018年に契約を終了した。
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