世田谷区がAI botを内製 非エンジニア職員がローコードで開発 ChatGPT活用「ヒデキ」
世田谷区が、職員用のチャットツールを使ってChatGPTと対話できるbot「HIDEKI」(ヒデキ)を内製で開発し、1月から全職員に提供している。
世田谷区が、職員用のチャットツールを使ってChatGPTに質問できるbot「Hideki」(ヒデキ)を内製で開発し、1月から全職員に提供している。非エンジニアの職員チームが、ローコードツールなどを駆使して3カ月で完成させたという。生成AI活用の支援などを手掛けるクラウドネイティブが3月12日に発表した。
Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用。職員が普段から使っているTeamsのチャットツールでヒデキに質問でき、ChatGPTを業務に活用できる。
文章校正やWord/Excel操作に関する疑問の解消、アイデアの壁打ちなどに活用されているという。利用した職員127人に聞いたところ、「生産性の向上を実感した」人が73%に上り、通常業務で1日平均約34分削減、アイデアや企画の素案作成は、1回当たり平均約77分削減できたいう。
非エンジニアチームが兼務で開発、3カ月で完成
チャットbotの開発は、区の「DX推進担当課」職員チームが通常業務との兼務で担当。クラウドネイティブは、環境構築や質問へのサポートを提供したが、世田谷区のIT環境には一切触れていないという。
自治体に求められる各種セキュリティ要件もクリアした。区の事務環境と、その環境から利用するAzureをそれぞれ論理的に閉域化していることで、入力したテキスト(プロンプト)の内容が外部に流出する可能性を低減したという。
内製のため、運用にかかる費用はAzureの基本料金(一部)と利用料(従量課金)のみ。委託請負などのベンダー依存を回避し、持続的かつスピーディな開発が可能になったという。
ヒデキはサングラス姿の中年男性風。「明るくポジティブ」「自分を若いと思っている」「絵文字をよく使う」などの性格に設定することで、親しみやすさを演出した。
現在は、庁内のデータや文書を生成AIに参照させて質問に答える「QAチャットボット」をテスト中で、3月中に提供開始する予定だ。今後の要望としては、文書や規定を幅広い年齢層や外国人でも読みやすい形に書き換える「やさしい日本語ボット」を求める声が多いという。
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