“自分で掃除するトイレ”まもなく登場 その仕組みと気になるランニングコストをLIXILに聞いた:知らないと損!?業界最前線(3/4 ページ)
自動洗浄機能を搭載するトイレは複数メーカーから登場しているが、6月発売予定のLIXIL「SATIS X」は、自動洗浄機能を組み合わせ、目に見えない汚れも落とすという。さらに便器の構造から再設計したこのトイレについて、構造や自動洗浄の仕組みを製品担当者に聞いた。
汚れを洗い流す、3方向からの強力な水流
便器に汚れが残ってしまう原因の1つに、便器の水流ムラがある。一般的なトイレは、奥の1カ所から水が出て、ぐるりと便器内を回って汚れを洗い流す。出始めの水流は勢いがあるもの、後半は弱くなってしまううえ、さらに排水口の上部など、そもそも水が届かない場所などもあった。水流が弱くなりがちな箇所や水が届かない箇所に汚れが残りがちで、放置するとこびりつくいてしまう点が課題だった。
SATIS Xは、便器内を3つのエリアに分けて洗う仕組みを採用。左右と後方から吐水できるようにした。しかし、ただ3カ所から水を出すだけでは、水流に勢いがなくなり、うまく洗えなかったそうだ。
そこで3カ所からの吐水タイミングを変更。順番に出すことで水の勢いを維持しつつ、広範囲の洗浄を実現したという。
「日頃、トイレを使ったときに、どういったところに汚れがつくのかを、モニターや実験で何度も何度も繰り返し調査しました。今回の技術は8年くらい前から開発してきたものです。水流は距離が長くなると弱くなります。だから3カ所から水を出すことで、水流の距離を短くし、水流が弱くなる場所をなくしているのです」(田中さん)
3方向から水流が出る便器は過去につくったことがあったそうで、これをリニューアル。とはいえ、SATIS Xの開発にあたっては、水が出る位置を見直し、洗浄性能を高め、洗えない部分をなくしている。
トイレ使用のたびに水の力で汚れを落とす機能として、ほかに「ノズルオートクリーニング(パワフル)」「シャッタークリーニング」がある。ノズルオートクリーニングは、従来の2倍以上の水流で洗浄する。またノズルシャッターはこれまで洗浄されることがなかった場所だったため、販売店などからも好評だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「最古の穴なし槽洗濯機」公開で売上二桁アップ、シャープに聞くオンリーワン技術の生かし方
縦型洗濯機のなかでも、カビが衣類に付着しにくいシャープの「穴なし槽」は一部ユーザーから強い支持を集めている。穴なし槽の30周年企画として、家庭で利用されてきた初代穴なし槽洗濯機の汚れを検証したところ、かなりきれいだったことが判明。この検証結果と、穴なし槽のこれからについて話を聞いた。
新型「ルンバ」使って分かった自動化レベル向上と安心感の理由 自動給水も可能に
ロボット掃除機市場をけん引するアイロボットのルンバシリーズに、複数の新機能が搭載された新フラグシップモデル「ルンバ コンボ j9+」が登場した。実際に製品を借りて進化点を検証したので、最新ロボット掃除機の考察とともに紹介したい。
電気シェーバー「5年保証」を実現できた理由 シェア4位の老舗メーカーは何をしたのか?
マクセルイズミが10月25日に発売した電気シェーバー「everedge IZUMI PREMIUM」シリーズは、替え刃の交換が5年間不要の「5年保証」を実現した製品だ。高い耐久性やそのほかの製品特徴、実際に使ってみた感想を紹介しよう。
新聞紙で炊くタイガーの炊飯器、開発のきっかけは「もったいない」だった 廃棄内釜を災害対策に
タイガー魔法瓶からちょっと変わった炊飯器「魔法のかまどごはん」が登場する。熱源は電気ではなく「炎」。同社100周年と関東大震災から100年の2023年に、防災グッズとして提案。キャンプ需要や学校教育なども想定する。開発の経緯や目指す世界について、製品のプロジェクトリーダーに話を聞いた。

