30畳対応の大風量なのに静か、シャープ初の「サーキュレーター」が採用する“ネイチャーテクノロジー”とは?:知らないと損!?業界最前線(3/4 ページ)
シャープが同社初のサーキュレーターを発売した。“フクロウの翼”形状を応用した新開発のファンで、大風量と静音性を両立。開発に3年以上をかけたという。さらに工具不要で分解清掃でき、洗濯物の生乾き臭を消臭するプラズマクラスターNEXTを搭載する。開発を担当したシャープの担当者に話を聞いた。
“フクロウの翼”を応用して運転音を低減
プラズマクラスターサーキュレーターの最大の特徴が、フクロウの翼を模した羽根を採用していることだ。シャープではさまざまな家電製品に、動物や植物の形状を模したネイチャーテクノロジーを採用している。例えば扇風機の羽根には、ムラのない滑らかな風を届けるために蝶・アサギマダラの羽の形状、直進性の高い風を生むためにアホウドリの羽根の形状などが採用されている。
今回採用されたフクロウは無音で飛ぶことができる鳥だ。深夜に狩りをするため、獲物に音を気づかれないような翼の構造になっている。シャープではこの構造をサーキュレーターに取り入れた。フクロウは、翼の断面にある膨らみの部分で空気を捉えて揚力(浮かび上がる力)を蓄え、翼の後ろの部分で風の勢いを強化することで、静かに羽ばたく。
「このフクロウの翼のテクノロジーをファンの断面に応用したのが、今回のネイチャーウイングです。効率よく空気を捉えることで、優しい運転音で大きな風量を得ることができました。さらにネイチャーウイングを基本に、風の広がりを抑えて直進性を高めるらせん状ガードや、風路を絞ることで風の勢いを高める本体構造により、パワフルな風をさらに強化する工夫をしています」(馬場)
このネイチャーウイングと本体構造により、開発時の目標だった「最大50dBを切る運転音」を実現している。さらに、全体的な音量を下げるだけでなく、耳障りなピーク音も抑えることができた。
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