PS5販売好調も今後の予想は控えめ ハードが鈍化しても成長できるソニーのビジネスモデルとは?
PS5は2023年度に全世界で2080万台売れ、累計販売台数は、3月末時点で5920万台になった。
プレイステーション5(PS5)は2023年度に全世界で2080万台売れ、累計販売台数は、3月末時点で5920万台になった。ソニーグループは、これを「同じ期間で計100ドルの値下げを実施したPS4の6000万台に近い水準」として、発売から2年も品不足に苦しんだPS5の巻き返しをアピールした。
5月14日に発表されたソニーグループの2023年度連結決算では、ゲーム事業の好調ぶりが浮き彫りになった。ハードだけではない。ソフトウェアでは、2月にPCとPS5向けに発売した「HELLDIVERS 2」が5月初旬までの12週間で1200万本(PC、PS5合算)を突破。22年の「God of War Ragnarok」の記録を抜き、SIEが手がけたPC向けタイトルとしては過去最大のヒット作になった。業績にも大きく貢献したという。
PS5の普及やサードパーティータイトルのヒットを背景に、PS全体の月間アクティブユーザー数も1億1800万アカウントまで増えた(3月時点)。総プレイ時間も3月は前年同月を15%上回る数字に。これは、コロナ禍の巣ごもり需要でプレイ時間が急増した20年度第4四半期に次ぐ、史上2番目の記録だ。
PSのビジネスモデルは転換済み?
一方、24年度のPS5販売台数は、1800万台程度と予想している。前年実績より低く見積もった理由についてソニーグループの松岡直美執行役員は、「コンソールサイクルの後半を迎え、PS5の新規販売台数は徐々に減少していくと見込んでいる」と説明する。
PS4の場合も最終的には1億1350万台以上売れたが(22年9月末まで)、発売4年目の2000万台をピークにその後は減少。今のPS5と同じ発売5年目(2017年度)の販売台数は1900万台だった。
ただし、PS5の販売が鈍化してもソニーのゲームビジネスは成長を続けるという。「プレイステーションのビジネスモデルはコンソールサイクルで俯瞰(ふかん)すると、PS4発売以降で大きく変化した。PS3までは新規に販売したハードに対してソフトウェアの販売本数を増やしていくモデルだったが、PS4の移行期を経て、PS5ではコンソールの世代を超えてユーザーコミュニティを広げ、プラットフォーム上でより長くプレイしてもらうモデルに転換している」という。
PS4世代で成長したネットワークサービスは、PS5世代で安定した利益成長を継続できる構造になったという。松岡氏は「継続的に増加するユーザー数とユーザーエンゲージメントを確実に維持拡大することで、PSプラットフォームの収益は着実に伸ばしていける」と自信をみせた。
ソニーグループの2023年度(23年4月〜24年3月期)の連結業績は、ゲームや音楽、イメージセンサーなどの大幅増収に為替の好影響もあり、売上高は13兆208億円と過去最高を更新した。ただし金融分野の大幅減益などの影響で、営業利益は1兆2088億円(前年度比-7%)、純利益は9706億円(同-2.6%)となった。
【訂正:2024年9月2日13時30分更新 ※初出時、月間アクティブユーザー数を「1億8000万アカウント」と記載しておりましたが、「1億1800万アカウント」の誤りでした。お詫びして訂正します】
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