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ソニーの人工衛星「EYE」、天上からオーロラの撮影に成功していた 太陽フレアの影響は?

ソニー「STAR SPHERE」プロジェクトは21日、人工衛星「EYE」が撮影したオーロラの写真を公開した。

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 ソニー「STAR SPHERE」プロジェクトの公式Xアカウントが5月21日、人工衛星「EYE」が撮影したオーロラの写真を公開した。日本時間の11日にメキシコ湾上空で撮影したものだという。


人工衛星「EYE」のカメラが捉えたオーロラ

 現地時間は10日夜だったため、地上は真っ暗で、都市とみられる明るい部分が点在する。ソニーによると、ダラスやヒューストンといった街だという。そして上空にはピンク色のオーロラが広がっている。

地味に影響を受けていたEYE

 オーロラの美しさとは裏腹に、太陽フレアは人工衛星の大敵だ。


「EYE」のイメージ

 2003年10月に発生した太陽フレアでは、NASAが管制する科学衛星・宇宙機の約59%が影響を受け、約24%のミッションで機器を一時遮断する安全策をとった。また22年2月の太陽フレアでは、地磁気嵐の影響で米SpaceXは「Starlink」衛星を40機も失っている。

 NICT 宇宙環境研究室の津川卓也室長によると、Starlink衛星が落ちた原因は磁気嵐に伴う電流で大気が過熱され、下層の濃い大気が上昇。低高度の大気密度が増加し、その高さにいた人工衛星と大気の摩擦が増大したため、とみているという。


太陽フレアは様々な影響がある(出典はNICT)

 今回の太陽フレアでは人工衛星に関する大きなトラブルは報じられていないものの、ソニーはSTAR SPHEREの公式Xアカウントは15日に「EYEの高度が400m下がった」と報告している。Starlink衛星の件を知る人たちは肝を冷やしたかもしれない。

 ソニーによると、EYEは磁気嵐の到来に備え、事前にカメラの電源を切るなど機器を遮断する対応をとっていた。しかし、高度が下がったこと以外にも「姿勢制御系の機能のリセットが起きた。また磁気嵐の影響でMTQ(姿勢制御用のアクチュエーター)の誤差も大きかったこともあり、久しぶりに一度もダウンリンクできない通信パスの運用があったことを確認している」という。

 幸い大きな問題にはならず、EYEは運用を継続できている。さらに「怪我の功名」か、冒頭のオーロラの写真を撮影できたという。

 今回の太陽フレアは、8〜14日の間に「Xクラス」と呼ばれる最も強い分類のフレアが9回も発生するという珍しい状況だった。放出された太陽コロナガスは11日未明に地球周辺に到来し、大規模な磁気嵐と電離圏嵐を引き起こした。その結果、世界各地で低緯度オーロラが観測された他、GPSの誤差拡大などの影響が報告されている。

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