「もう限界です」──国立大学協会が声明、財務悪化の現状を訴える 「教育・研究の質の低下が危惧される」
「もう限界です」──国立大学協会は、日本の国立大学の財務状況に関する声明を発表した。物価高騰や円安などの影響で、国立大学の財務状況は悪化が続いているという。
「もう限界です」──82の国立大学法人が参加する国立大学協会は6月7日、日本の国立大学の財務状況に関する声明を発表した。物価高騰や円安などの影響で、国立大学の財務状況は悪化し続けているという。
国立大学法人の収入源は、学生からの納付金や病院収入などの自己収入、受託研究費や寄付金、研究者個人に与えられる科学研究費補助金などの他に、国からの運営費交付金と呼ばれる資金がある。運営費交付金は活動資金の中でも大きな割合を占めているが、2004年度以降、減少傾向という。
一方、物価高騰や円安、社会保険などの経費上昇などが収入源を圧迫し、実質的予算が目減りする状況に。また、働き方改革を実現するために、大学教職員や学校教員、医師を確保する必要もあるという。国立大学では質の高い教育研究活動を維持するために収入を増やす努力を続けてきたが、それももう限界にあると説明する。
過去には、東京藝術大学が光熱費高騰で財政が切迫していることを踏まえて、電気代を募るコンサートを開催。同学の客員教授を務める、歌手のさだまさしさんもこれに参加していた。
(関連記事:電気代を稼ぐ音楽コンサート、東京藝大がさだまさしさんと開催 光熱費高騰にさださんが「力になりたい」)
同協会は「賃金引上げの時流において、国立大学はその余力もなく優秀な人材の確保が困難となり、教育・研究の質の低下が危惧される」と問題点を指摘。また、大学院修士・博士課程の6割以上は国立大学の学生であるが、諸外国に比べると修士号・博士号取得者数が少ない点なども説明し、日本の教育研究の未来に危機感を示している。
同協会は国民に対し、国立大学を取り巻く現状の理解と共感、協働などを求めている。
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