「生成AI導入1年で労働時間を18.6万時間削減」パナソニックコネクト
パナソニックコネクトは、OpenAIのLLMをベースに開発した自社向けAIアシスタントサービスを導入してから1年間で、労働時間を18.6万時間削減したと発表した。
パナソニックコネクト(代表:樋口泰行氏)は6月25日、OpenAIのLLMをベースに開発した自社向けAIアシスタントサービス「ConnectAI」を導入してから1年間で、労働時間を18.6万時間削減したと発表した。
同社は2023年2月から、ChatGPTをベースにしたAIアシスタントサービスを国内全社員約1万2400人に展開している。
生成AIを活用している社員に、どれだけの時間が削減できたかを聞いた結果、1回あたり平均約20分の削減につながっていたという。単純な質問のやり取りから戦略策定の基礎データ作成といったものまで幅広く使われていた。
AIアシスタントへの12カ月間のアクセス回数は139万6639回。直近3カ月の利用回数は前年同期間より41%増えていた。また、16カ月の間に情報漏洩、著作権侵害などの問題は発生しなかったという。
将来は「AIが自律する企業」が実現?
23年9月に、自社Webサイトやニュースリリースなどの公開情報を元に回答するAIの試験運用をスタートし、精度を確認。この結果を踏まえて24年4月から、社外秘の品質管理情報1万1743ページについて回答するAIの活用も始めた。回答結果の真偽を確認可能にするため、回答の引用元を表示する機能も実装しているという。
また、社内にある品質管理規定や過去に発生した品質問題をConnectAIで参照できる機能も開発。「経験者でも判断が難しい設計段階での問題や部品に起因する問題、製造方法や作業手順の問題について原因の特定を容易にすることで、人手不足を補い、より短い時間で精度の高いものづくりにつなげていきたい」としている。
今後は生成AI用の自社データ整備を進め、人事の研修サポートや社内ITサポート、カスタマーセンターなどの社内サービスにも適応を拡大する。また、個人の職種や権限に応じて回答を行う個人特化AIの導入も検討する。
同社は、スウェーデンの哲学者、ニック・ボストロムが提唱する人工知能の3つの発展段階を紹介した上で、将来は「最小限の人の介入で自律的にAIが業務をこなす、オートノマスエンタープライズ(自律型の企業)」が実現できると同社は展望している。
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