EU、Microsoftに独禁法違反の「予備的な異議告知」 Teamsの365バンドルで
EUの欧州委員会は、Microsoftがオンライン会議用アプリ「Teams」の提供をめぐり独禁法に違反したとする予備的な異議告知を送ったと発表した。Microsoftには懸念に回答する機会が与えられている。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は6月25日(現地時間)、米Microsoftのオンライン会議用アプリ「Teams」の提供をめぐり、EU競争法に違反したとする予備的な見解を公表した。
欧州委員会は昨年7月、Slackからの申し立てなどを背景に、この件について正式調査を開始した。Teamsを「Microsoft 365」にバンドルして提供していたことで、Microsoftが他社の参入を阻み、市場の競争を妨げているという懸念を示していた。
これを受け、Microsoftは昨年9月、欧州経済領域などでのTeamsのバンドル解除を発表し、4月にはバンドル解除を世界中に拡大する計画を発表したが、欧州委員会は競争を取り戻すためにはさらなる対応が必要だとして、Microsoftに異議告知書を送ったとしている。
欧州委員会のコミッショナー、マルグレッタ・ヴェスタヤー氏は発表文で「これが事実であれば、Microsoftの行為は競争規則に違反することになる。Microsoftには、われわれの懸念に回答する機会が与えられている」と語った。
Microsoftのプレジデント、ブラッド・スミス氏は米Financial Timesへの声明文で「欧州委員会が抱く懸念に対処するための解決策を見つけるために取り組んでいく」と語った。
Slackを傘下に持つ米Salesforceのマーク・ベニオフCEO兼会長はこのニュースに「Microsoftはバンドルが得意だ。これはMicrosoftが新しい市場を支配するためのよく知られた戦略だ」と添えてXにポストした。
違反が最終的に確認されれば、年間売上高の最大10%の制裁金が課される可能性がある。
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