なぜ360度開くスーツケースの素晴らしさは伝わりにくいのか? エース「プロテカ360」とその製造過程:分かりにくいけれど面白いモノたち(5/5 ページ)
私は、エースの「プロテカ360」を愛用しているのだけど、これは360度ファスナーが開くので、使うたびに縦にも横にも開閉できる素晴らしさを実感している。今回は北海道赤平市にある工場を訪ね、プロテカの製造工程を探った。
スーツケースを買おうと考えた時、「プロテカは欲しいけど高いなあ」と思ったのだけど、例えば私が使っているタイプは8万円台。それは、バッグとして考えた場合、容量や機能からすると物凄く安いのだ。大型の革のブリーフケースなら、8万円台は安いくらいなのに、スーツケースだと高いと感じるのは、どこか、シンプルな構造で簡単にできる量産品だと思っていたからではないか。
そういえば、例えばキャスターの動作の検査には、この広大な赤平工場の外を、スーツケースをごろごろ引きながら、何キロも歩くという話も聞いた。冬場などの外を歩けない状況の時は、ウォーキングマシンのようなものも使うけれど、やはり、実際の様々な凹凸があり、状況が変化する「道」でテストする方が、細かい部分までチェックできるのだという。もっともな話である。
最後に見せてもらったのが、その様々な検査を行う品質管理研究所だ。予想通り、ここは盛り上がる。スーツケースの中に最大24kgの重りを入れた上で、高いところから落としたり、巨大なドラム式洗濯機のようなものの中にいれて、ぐるぐると回したりと、とにかくスーツケースを痛めつけていく。そして、当然のように、その程度の検査では、外観に傷はつくものの、歪んだり曲がったりは一切しない。
実は私は、文学フリマに本を搬入する前に、エースさんに「プロテカ360に、20kg以上の本を入れて持っていきたいんですが大丈夫ですか?」と問い合わせたのだが、その時の答えが「最大24kgの重りを入れて、色んなテストをやってるから全然大丈夫ですよ」ということだった。そして実際、余裕を持って持ち歩けたのだが、このテストを見ていると、それは当然の結果だったと思えた。堅牢なフレームタイプに比べて軽量なジッパータイプでも、この耐衝撃性能なのだから、やはりスーツケースは大きく進歩しているのだ。
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