Google、Vertex AIのグラウンディング機能強化 Moody'sなどのコンテンツを利用可能に
Googleは、企業向け生成AIプラットフォーム「Vertex AI」のグラウンディング機能強化を発表した。Moody'sやThomson Reutersのコンテンツを利用できるなど、幻覚防止機能を強化する。
米Googleは6月27日(現地時間)、Google Cloudで提供する「Vertex AI」のグラウンディング機能をさらに拡張し、企業がより高性能なエージェントやアプリを構築できるようにしたと発表した。Vertex AIは、エンタープライズ向けの生成AI体験、アプリ、エージェントを構築するためプラットフォームだ。
グラウンディングとは、生成AIモデルがより正確で信頼性の高い情報を生成できるように、外部のデータソースや知識ベースに接続すること。つまり、AIモデルが「幻覚」(ハルシネーション)を起こして、もっともらしくても事実に反する情報を出力してしまうことを防ぐための技術だ。
今回、3つのグラウンディング関連の新機能を発表した。
ムーディーズなど、サードパーティデータセットを用いたグラウンディング
信頼できる多様な情報源にAIモデルを接続したいという企業のニーズに対応するため、Vertex AIは、Moody's、MSCI、Thomson Reuters、Zoominfoなどの専門プロバイダーのデータを使用してモデルやAIエージェントをグラウンディングできる新たなサービスを開始する。これにより、企業はサードパーティのデータを生成AIエージェントに統合し、独自のユースケースを実現できるとしている。
Google検索を用いたグラウンディング
Google検索を用いたグラウンディングの一般提供を開始し、ダイナミックリトリーバルを導入する。ダイナミックリトリーバル機能は、Google検索の結果を使用すべき場合と、モデルの学習データを使用すべき場合をインテリジェントに選択することで、品質とコスト効率のバランスを取るというものだ。最新情報が必要でないと判断した場合、自動的に外部グラウンディングを排除する。
High-Fidelity(高忠実度)モードでのグラウンディング
金融サービス、ヘルスケア、保険などの業界では、生成された回答が提供されたコンテキストのみに基づいている必要がある。 High-Fidelityモードは、こうしたケースのために構築された「Grounded Generation API」の新機能で、顧客が提供したコンテキストのみに基づいて回答を生成するように微調整された「Gemini 1.5 Flash」モデルを使う。この機能により、回答の各文に情報源が付与され、主張の根拠が明確になるため、事実性が高まり、幻覚が減少するとしている。
Googleはまた、2月に限定リリースした「Gemini 1.5 Pro」と、5月にパブリックプレビュー版としてリリースしたGemini 1.5 Flashの一般提供開始も発表した。
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