“生成AI被害への訴訟費用”募るクラウドファンディングが100%達成 「潤羽るしあ」イラストレーターが発起
「著作物が生成AIに無断利用された」として、VTuber・潤羽るしあさんなどのデザインを担当したイラストレーター・やすゆき(@yasu00kamiki)さんが、訴訟費用を募るためにクラウドファンディングを立ち上げたところ、9月2日午後8時すぎには支援総額が目標額の667万円を突破した。
「著作物が生成AIに無断利用された」として、VTuber・潤羽るしあさんなどのデザインを担当したイラストレーター・やすゆき(@yasu00kamiki)さんが、訴訟費用を募るためにクラウドファンディングを立ち上げたところ、9月2日午後8時すぎには支援総額が目標額の667万円を突破した。
午後8時42分時点の支援総額は680万5614円。支援者数は1343人で、8月24日の開始から10日ほどでの達成となった。発起人のやすゆきさんは「10日ほどで目標額を達成できるとは思っていなかったので、皆さんの生成AI問題への関心の高さにびっくり」とコメントしている。
やすゆきさんは、集めた資金を訴訟費用や誹謗(ひぼう)中傷対策に充てるとしている。募集ページの概要文によれば、やすゆきさんは自身の著作物であるキャラクターの名前を使った「AI○○○○○」(※○にはキャラクター名が入る)と名乗るアカウントを、2023年5月に発見。このアカウントは、やすゆきさんのイラストに酷似したAI画像を生成していたという。
やすゆきさんはこのアカウントの持ち主に対して、弁護士を通じてアカウントの削除依頼を要請。一度は謝罪の意向を示したため示談交渉を進めたが、最終的にアカウントの持ち主は「自らの行為には問題がない」との見解を示した他、「やすゆきさんが告発したことで被害を受けた」とも主張したという。一連の主張を受けたやすゆきさんは和解に至る可能性はないと判断し、提訴を決意。個人での経済的負担が大きいことから、クラウドファンディングの実施に至ったとしている。
ただし当初は資金の具体的な使途や、訴訟の争点をどうするのか明らかにしておらず、SNSでは情報不足を指摘する声も出ていた。やすゆきさんは後に一連の内訳などについて説明。目標額667万円の使途について、訴訟費用として最低400万円、誹謗中傷対策に200万円前後を充てる他、支援者向けに損益計算書を公開する方針を示した。一方で訴訟の争点については「弁護士から伏せるよう指示された。時期がきたら公開可能になるかと思う」として詳細を伏せている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
“生成AI被害への訴訟費用”をクラウドファンディング──「潤羽るしあ」のイラストレーターが募集
“生成AI被害への訴訟費用”をクラウドファンディング──Xで40万人以上のフォロワー抱えるクリエイター・やすゆき(@yasu00kamiki)さんの投稿が話題になっている。
「Stable Diffusion XL」搭載のAI画像生成サービス、GMOが提供開始 Webブラウザから利用可能
GMOインターネットグループは、画像生成AIサービス「ConoHa AI Canvas」の提供を始めた。Webブラウザ上で、画像生成AI「Stable Diffusion XL」を使った画像生成を利用できるサービス。
お絵描きアプリ「アイビスペイント」にAI学習妨害機能 ユーザーからは「顧客が望んでいたもの」などの声も
イラスト作成アプリ「アイビスペイント」を提供するアイビスは、新機能「AI学習妨害機能」を実装した。この機能を利用することで、画像生成AIの追加学習を妨害できるノイズをイラストに与えられるという。
署名「画像生成AIからクリエイターを守ろう」が賛同1万件間近に 「AI生成物のみ非親告罪に」などを主張
オンライン署名サイト「Change.org」で署名を集めている「「AI法」を作り画像AI生成からクリエーターを守りましょう!!」のページの賛同数が間もなく1万件を迎える。署名の開始日は2023年6月8日で、4月8日午後6時時点では賛同が9632件となっている。

