名古屋大学の研究チームは9月25日、オタマジャクシの姿でいる間はフンをしないカエルがいることを発見したと発表した。石垣島や西表島、台湾に生息する「アイフィンガーガエル」で、このような特殊な適応戦略は、カエルで初めて確認したとう。
アイフィンガーガエルのオタマジャクシは、天敵の少ない、木の洞や竹の切り株などの樹上の小さな水場で育つ。エサは、母親が水場の外で産んで運んでくる無精卵のみだ。
研究グル−プがアイフィンガーガエルのオタマジャクシを飼育したところ、変態するまで腸内に固形の便ををため込み、便を排出しないことを発見した。
また、高濃度のアンモニアを便として蓄積していること、他種に比べてアンモニアへの高い耐性も持っていることも確認した。
一般的なオタマジャクシはアンモニアを含む便を排出するが、小さな水場で育つアイフィンガーガエルのオタマジャクシが便を排出すると、多量の水で希釈できないため、環境中に有毒なアンモニアが蓄積してしまい、生存を脅かす可能性がある。
アフィンガーガエルのオタマジャクシは、腸内に高濃度のアンモニアを保持しつつ排便を避けることで、環境中のアンモニア量を減少させるとともに、アンモニアへの高い耐性により生存率を上昇させていると、研究チームは見ている。
研究成果は2024年9月22日付の米国生態学専門誌「Ecology」に掲載された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
“鼻をほじる”と認知症になりやすい? オーストラリアの研究者が23年に研究発表 指に付いた細菌が嗅覚系から脳に侵入
オーストラリアのウェスタンシドニー大学などに所属する研究者らが2023年に、アルツハイマー病(AD)の発症メカニズムに関する新たな仮説を発表した。
「鏡よ、鏡」と問う魚──自分のサイズを確認→“敵と戦って勝てるか判断する”現象 阪公大などが発表
大阪公立大学とスイスのヌーシャテル大学に所属する研究者らは、魚(ホンソメワケベラ)が鏡を使って自身の体長を認識し、その情報を戦略的に利用する能力を持っていることを示した研究報告を発表した。
世界初、“ネコ用iPS細胞”の安定作製に成功 新たな治療薬への応用に期待 大阪公立大など
大阪公立大学大学院獣医学研究科などからなる研究チームが、高品質なネコ用iPS細胞の安定作製に成功したと発表した。「慢性腎臓病などの病態解明や、新たな細胞治療法の開発が期待される」という。
2体のしめじが近づくと感情豊かにみえる──東大が発表 “ヒトではないもの”に感情があるように見える現象を検証
2体のしめじが近づくと感情豊かにみえる──東京大学は、“ヒトではないもの”が感情を持っているように感じる現象の研究成果を発表した。
「換気していない部屋では眠くなる」は科学的に正しかった――二酸化炭素と“日中の眠気”の因果関係、東北大が解明
東北大学は二酸化炭素が日中の眠気を引き起こすとする研究結果を発表した。


