風呂キャンセル界隈も納得? LIXILの“布製”浴槽がマンション浴室を自由にする理由、企画した本人に聞いた:知らないと損!?業界最前線(3/4 ページ)
2024年は「風呂キャンセル界隈」という言葉が話題になったが、それに応えるかのような製品がLIXILから登場した。「bathtope」は、布製で折りたためる浴槽を備えており、シャワールームを広く使ったり、浴槽に浸かったりできる。bathtopeを企画開発した担当者に開発の経緯と、製品ターゲットや展望について話を聞いた。
スペース活用以外にもメリット
bathtopeの製品化にあたって最も時間がかかったのは、fabric bathの素材や構造の開発だった。公募の時点で基本コンセプトは固まっていたが、実際に浴室で使うとなると手軽に折りたためる軽さと耐久性が求められる。
「形状については、最初は夢が広がり、いろんなことができると考えていました。しかし軽さや使いやすさを突き詰めた結果、シンプルな構造になりました。また水漏れ対策や肌触りなどは、実際に試して紆余曲折しながら完成までもってきました。この布の浴槽づくりは、楽しかった半面、苦しかったところですね」(長瀬さん)
fabric bathには、ポリエステルを中心とした柔らかい繊維と防水性のあるポリウレタンフィルムの二重構造を持つ1枚の布を採用した。これを浴室の左右の壁に引っ掛けて使う仕組みだ。
bathtopeの浴槽は、取り外せること以外にもさまざまなメリットがある。1つは一般的な浴槽よりも広いことだ。マンションなどで採用されることが多い1200×1600mmサイズのユニットバスの場合、1200mmの短辺に浴槽が設置されるため、脚を伸ばして入浴できない。しかしbathtopeの場合、1600mmの長辺に浴槽を設置するため、脚を伸ばしてゆったりと入浴できるのだ。
さらに節水効果もある。布製のfabric bathが体を包み込むようにフィットするため、バスタブに貯める水の量を減らすことができる。同じ1600mmサイズのFRP浴槽と比較すると、約26%の節水が可能だ。
また戸建て住宅などに多い1坪の1600×1600mmサイズの浴室を1200×1600mmサイズのbathtopeにリフォームすると、浴室の面積を減らして洗面室側を400mm広くできる。そのスペースは、広いランドリーとして使ったり、クローゼットスペースにするなど、住宅空間の有効利用ができるというわけだ。
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