風呂キャンセル界隈も納得? LIXILの“布製”浴槽がマンション浴室を自由にする理由、企画した本人に聞いた:知らないと損!?業界最前線(4/4 ページ)
2024年は「風呂キャンセル界隈」という言葉が話題になったが、それに応えるかのような製品がLIXILから登場した。「bathtope」は、布製で折りたためる浴槽を備えており、シャワールームを広く使ったり、浴槽に浸かったりできる。bathtopeを企画開発した担当者に開発の経緯と、製品ターゲットや展望について話を聞いた。
bathtopeを通して「改めて浴室を考える」
bathtopeをいまある住宅に設置するにはリフォーム工事が必要なこともあり、12月上旬時点では見積もりを行っている段階だという。残念ながら目標とする販売台数やシェアなどは非公開とのこと。
「bathtopeは基本的に、中古マンションのリノベーション市場で、シングルやディンクス向けと考えています。そして現段階で導入してくださるのは情報感度が高いイノベーター層と考えると、対象は年間7000戸ぐらいで、その何割に使っていただけるかということですね。とはいえ、販売台数を追っている商品ではありません。
というのもbathtopeの導入を検討した結果、他の商品が売れるという『宣伝役』のような効果も期待しているんです。ですので社内では、宣伝効果などを含めてbathtopeの目標を設定しています。さらにbathtopeをきっかけに、マンションのリフォーム市場全体を活性化できないかとも考えています」(長瀬さん)
「LIXILには、bathtopeのような革新的な浴室製品がある」と周知されれば、LIXILブランドの認知が高まる。さらにはbathtopeを入り口として、他の浴室製品の販売につながることも期待しているというわけだ。
長瀬氏によると、シャワーしか浴びないライフスタイルが広がったものの、浴室をシャワーだけにする例は少ないという。住宅を建てて10年、20年と住んでいく間にライフスタイルが変化するためだ。今は面倒であまり使わなくても、いつか毎日浴槽に入る日が来るかもしれないと考える。そしてbathtopeなら、普段はシャワーをメインにしながら、浴槽も利用できるというわけだ。また住宅専用の製品ではないので、ホテルなどへの導入も可能だ。法人向け需要についても「話が来たら対応する」という。
LIXILが2022年に行った「あなたのお風呂事情 調査」の結果。2割はシャワーのみで、さらに1割は週1回しか浴槽に浸かっていない。しかし同時に7割以上が時間や気持ちに余裕があれば毎日湯船に浸かりたいと答えたという。この調査結果がbathtopeにつながった
bathtopeは、住宅空間の有効活用や節水などのメリットもあるが、「シャワーをメインにしつつ、浴槽にも入れる」という、LIXILからの新しい浴室の提案だ。そしてマンションなどをリフォームするとき、この「新しい浴室」を通して、自分がどのような浴室を求めているのか、改めて考えさせてくれる製品なのだ。
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