mixi2は、Xと違う「知らないおじさんが乱入しないSNS」に 笠原氏に聞く、収益化の道:mixi古参ユーザーが聞く「mixi2」の戦略(4/5 ページ)
Xは「自分の家に、知らないおじさんがいる」――そう語るのは、新SNS「mixi2」を統括するMIXIの笠原会長。mixi2はなぜ生まれたのか、どういうSNSに育てたいのか、マネタイズの道筋はあるのか、笠原氏に直接疑問をぶつけてみた。
開始時がピーク? 熱狂は落ち着いても「自然な成長がいい」
一般公開は12月16日。プレスリリースを打たない“サイレント公開”だったが、社員から招待状を受け取ったWeb系のインフルエンサーが拡散し、お祭り騒ぎになった。
Xのトレンドにもmixi2が入り、各アプリストアでダウンロードランキング1位を獲得。初速は想定を大きく上回り、5日で120万登録を突破した。
その後は利用が落ち着き、大みそか近くには「mixi2のタイムラインが“過疎”ってきた」という声も聞かれるようになった。
「初期の盛り上がりがちょっと異常値的だった」と笠原氏。だが「12月31日の紅白歌合戦や、1月1日のあけおめ投稿で投稿ボリュームがすごく増えた」という。「そこは(リアルタイムに共有できる)時系列タイムラインの良さかな、って」。
1月2日以降は元日よりやや下がりつつも「アクティブユーザー数、アクティブ率、投稿ユーザー数も上がってきている」状態だ。「使う人にはしっかり使ってもらっており、新しく入ってきた人もなじみながら、だんだん数字が積み上がってきている状況かなと思ってます」。
今後も口コミベースの自然な成長を目指す。「愚直に機能を改善していきながら、使ってる方々が満足し、招待が広がったり、評判を聞いた人がやってみたいと入ってくる、自然な成長が一番いい。mixi2のコンセプトは”善なるもの”であり、多くの人に受け入れられる可能性はあると思っています」。
収益化の道筋は
収益化はどう考えているのだろうか。Twitterはユーザーに愛されながらも赤字が続き、イーロン・マスク氏による買収とサービスの混乱を招いた。
mixi2のビジネスについて笠原氏は、「サービスを立ち上げてるフェーズなので先のことは読めないし、検討段階ですが……」と濁しつつ、「収益は非常に大事。使い勝手の良いサービスを提供するためにも、しっかり作っていかなくちゃいけない」と覚悟を示す。
基本機能は「将来的にも無料であるべき」と考えているが、広告や付加サービスでの課金の可能性も含めて、幅広く検討する。
広告という“知らないおじさん”がタイムラインに現れる可能性があるのか? と問うと、「(広告主に対して)どなたでしたっけ? って話もあると思うんですけど、より良いサービス作っていくために、やむを得ない部分なのかなって気はしてます」。
新たなビジネスアイデアも検討する。「(広告・課金以外の)もっと面白い仕組みや、新しい収益の取り方も、あるのかもしれない」。
「みてね」を参考に、mixi2のビジネスを考える
収益化のイメージとして、初代mixiや、笠原氏が立ち上げた写真共有アプリ「みてね」が参考になるかもしれない。mixiは開始半年で広告を導入。1年弱で課金サービス「mixiプレミアム」(当初は月額315円)を始め、開始1年強で単月黒字化した。
「みてね」は開始2年目に有料フォトブック作成機能を、4周年の2019年にユーザー課金「みてねプレミアム」(当初は月額480円)と年賀状プリント「みてね年賀状」を開始。子ども用GPSなど周辺サービスへも展開して黒字化しつつある。
筆者は「みてね」を使い始めて約10年の課金ユーザーだ。プレミアムは当初から利用しているし、別料金で紙写真を購入することもある。姉妹サービスの「みてねみまもりGPS」(月額528円)は子どものランドセルに入れ、位置情報を把握している。
月額1000円以上支払っているが、“お金を取られている”感覚は薄い。子どもたちの写真や動画を祖父母に見てもらえるのが楽しく、満足感が料金を上回っているためだ。電気代や水道代、もしくはAmazonプライムのような、日常を支えるインフラ費用というイメージだ。
サービスが愛され、日常のインフラになれば、付加価値や周辺領域にお金を払うことへの抵抗が減る。mixi2が目指すのは、そんなポジションなのかもしれない。
「いいサービスと収益は両立する」
現時点のmixi2は、まずサービスを成長させることを目指しており、ビジネス化はその次の課題だ。
「多くの人がよく使ってくださる、プライオリティの高いSNSにしていくことが大事。そこに価値を感じていただいている限りは、必ず収益化はできるんじゃないか」――笠原氏の基本スタンスは、mixiリリース当初から笠原氏(当時は社長)が話していた「いいサービスと収益は両立すると」変わらない。
mixi2の開発チームは約10人の少数精鋭。「現状、かなり少数なチームでできていますし、経営体力的にも全然カバーしていける」
MIXIグループは約900億円の現預金(2024年6月時点)を保有し、自己資本比率は8割を超えるなど財務は極めて盤石。可能性のある事業に投資する余力は十分だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



