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花粉を出さないスギ「春凪」、静岡大が開発 研究期間15年の成果 「花粉症に苦しんだ時期に静かに暮らせるように」
静岡大学などの研究チームは、花粉の出ない「無花粉スギ」を開発したと発表した。
静岡大学などの研究チームは3月13日、花粉の出ない新たな「無花粉スギ」を開発したと発表した。正常に花粉を形成できない現象「雄性不稔」の遺伝子を持ちつつ、成長や材質などにも問題のないスギの選抜に成功。研究チームはこのスギを「春凪」(はるな)と命名した。
雄性不稔遺伝子を持つスギは、一つの遺伝子の変異に起因して生じ、この遺伝子を持つ個体同士を交配させることで作り出せる。研究チームは、2010年に作出した雄性不稔遺伝子を持つスギを育成。23年には調査や統計解析、無花粉であることの確認などを進め、優良な1個体を選抜することに成功した。このスギは、スギの品質を審査する優良品種・技術評価委員会にて「品種評価基準を満たしている」と評価を得た。
名称の春凪の由来については「春:いままで花粉症に苦しめられてきた時期に、凪:静かでゆったりと暮らすことができるようになる」という思いが込められているという。
今後は、静岡県などでの林業や、既存の優良品種と交配させて新たな無花粉スギ品種を作出するための育種素材として活用するなど、スギ花粉の発生源対策に役立てる方針。
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