ブラウザも「マインドフルネス」で選ぶ時代? “集中力”にアプローチする「Opera Air」を試す:小寺信良のIT大作戦(2/2 ページ)
1995年からWebブラウザを手掛けているOperaだが、2025年2月に新ブラウザ「Opera Air」をリリースした。全くのフルスクラッチというわけではなく、現在のOperaに機能を追加したものとなっているのだが、その方向性として「マインドフルネス」を重視した設計になっているのが通常のOperaと違うポイントだ。
AIと融合したブラウザ機能
いくらマインドフルネスを促すとはいっても、ブラウザとして使いづらいのでは常用するのは厳しい。そもそもOperaを使っている人も少ないと思うので、今のOperaはどうなってるのか、という事も含めてブラウザ機能をご紹介したい。
まずOperaは独自エンジンなので、機能拡張が厳しいと思われていると思うが、前段でも述べたように今はChromiumベースになっているため、Chromeの拡張機能も使えるようになっている。特定ツールに記事をクリッピングする拡張機能を使っている人も多いと思うが、そういうものも試してみる価値はある。筆者はNotionへクリッピングする拡張機能を使っているが、なぜかウィンドウの色が緑色になるという事以外は問題なく使えている。
またOperaは「Aria」というAIがインテグレートされているので、各所でAIパワーが使えるのも魅力だ。例えば英語サイトでページ内の文章を選択すると、Ariaを使って翻訳することができる。以下は25年4月に開催されるNAB Showの、ソニー公式サイトの文章を翻訳したものだ。
またTabキーを押すとページ全体に対してAI処理ができる。ページの要約も可能だ。
このAriaも、サイドバーから呼び出すことができる。GPT-4o、Gemini1.5、Imagen3がベースとなっており、質問することができるほか、生成モードでは短文の生成もできる。
ただ質問欄の日本語入力にやや難があり、キーの最初の1文字を取りこぼしたり、日本語変換して確定のためにEnterキーを押したとたんにAIに送られたりという、「日本語初期対応あるある」がまだ残っている。これはそのうち改善されるだろう。
活用したい機能に、「PinBoards」がある。これは一時的に集めておきたいサイトをピン留めできる機能だ。ブックマークと似たようなものではあるが、ボードはいくつでも作れることや、ページのサムネイルも保存されることで、仕事で後々必要となる情報をクリップしておくのに便利だ。
もう一つ、「Flow」という機能も面白い。これは異なるプラットフォームにインストールしたOpera間でページ情報をやりとりする機能だ。例えばスマホ版のOperaで見つけた記事をPCに転送したい場合は、メニューからFlowへ送ると、デスクトップ版ほか同期しているOperaの間で共有できる。
特にAndroidとMacの間はなかなか情報のやりとりが難しかったが、ブラウザを共通化することでその問題が解決できる。
現在のブラウザは、自動車に例えればエンジンが同じで車体だけ違うみたいな感じになっている。エンジンの共通化には独占の問題もあるが、そこに開発にリソースを割かなくても良くなったぶんだけ、車体に注力できる。Opera Airは、こうした車体バリエーションを1つのコンセプトに昇華できるという方向性を示したものといえそうだ。
IT業界もだんだん若者中心ではなくなり、そこそこオジサンが主戦力の現場だ。マインドフルネスやデジタルヘルスといったことが機能に盛り込まれるのも、当然である。最近効率下がってるなーと思っている方は、こうしたブラウザに変えてみるというのも、1つのリフレッシュ方法だろう。
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