ETCシステム障害、復旧までに38時間かかった理由は“見込み違い” 作業完了後に障害拡大
6日未明に発生したNEXCO中日本のETCシステム障害。7日の午後2時にETCによる料金収受を再開するまでに約38時間を要した。9日の定例会見では、障害発生箇所の特定と復旧に手間取る様子が浮き彫りになった。
4月6日未明に発生したNEXCO中日本のETCシステム障害は、7日の午後2時にETCによる料金収受を再開するまでに約38時間を要した。同社が9日に開いた定例会見では、障害発生箇所の特定と復旧に手間取る様子が浮き彫りになった。
今回の応急復旧作業は、障害が発生した各料金所のシステムから優先して改修前の状態にもどす、いわゆるロールバック作業を行った。6日の午後6時にはそれが完了し、必要なデータを手動で試験配信して問題がないことも確認している。
ところが、7日の午前0時にETC課金に必要なデータの自動定時配信が行われると、再びシステム障害が発生。復旧作業前よりむしろ拡大する状況に陥ったという。なぜか。
NEXCO中日本は当初、新しい深夜割引に向けて5日に実施したサーバの追加がシステム障害の直接のトリガーになったとみていた(関連記事)。このため改修作業の対象だった地域管理システム以下の対応を優先した。
しかしETCシステムは、管内に310ある料金所のシステムの上にNEXCO中日本の支社、保全・サービスセンター単位の「地域管理システム」(21システム)があり、その上の本社「広域管理システム」(1システム)、さらにNEXCO3社共通の「統括システム」(1システム)がある。そして再度の障害を引き起こした自動定時配信を行ったのは広域管理システム。不具合の発生箇所を見誤っていた。
自動配信されたデータが破損していたことを確認したのは7日の午前3時ごろ。データ配信を手動に切り替え、正しいデータの配信を実施したのが7日の正午前後で、その2時間後にようやくETCの運用を再開できた。
自動配信データが破損していた理由は9日の時点でも不明だ。現在も原因の究明と本格復旧に向けた作業が続いている。
広域障害のマニュアルなかった
今回のシステム障害では、最大で1都7県106カ所の料金所に影響があった。6日の正午ごろには東名高速音羽蒲郡インターチェンジ出口(上り)で約6kmの渋滞も発生。渋滞に起因する事故も報告されている。
NEXCO中日本に対しては、障害発生から料金所出口の発進制御バーを開放するまでも13時間半を要しており、初動対応の遅れを指摘されている。「料金所中心のマニュアルを作っていた。広域システム障害を想定したマニュアルはなかった。早急に取り組む」。
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