米司法省対Google訴訟、最終局面へ――救済策を巡る開廷弁論開始
司法省が2020年にGoogleを独禁法違反で提訴した裁判で、是正のための救済策を巡る開廷弁論が始まった。Googleはこの救済策は「危険で無責任だ」と主張し、控訴するとしている。
米司法省が2020年10月にGoogleを相手に起こした独禁法訴訟で4月21日(現地時間)、Googleの違法行為によって生じた損害を是正するための救済策を巡る開廷弁論が開始された。
この裁判では既に連邦地裁がGoogleは米国の独禁法に違反したという判決を下している。判決当時、メリック・ガーランド司法長官はこの判決を「米国民にとって歴史的な勝利」と評し、「いかに巨大で影響力のある企業であろうとも、法の上に立つことはできない」と強調した。
今回の開廷弁論は、Googleの責任を改めて審理するものではなく、Googleの違法行為によってもたらされた損害をどのように是正するのか、その救済策について裁判所に判断を求めるものだ。
この救済策は、Googleの違法行為によって損なわれた競争を回復させることを目的としている。具体的には、以下を含む。
- 排他的検索エンジン配置契約の禁止
- Appleなどとの収益分配契約の終了
- Chromeブラウザの分割または売却
- Android事業の分割または売却
- 検索インデックスデータのライセンス供与
開廷弁論に先立ち、ドナルド・トランプ米大統領が任命した司法省の反トラスト部門司法次官補であるゲイル・スレーター氏は「このGoogle検索訴訟には、インターネットの未来そのものがかかっている」と強い危機感を示した。
同氏は、もしGoogleの行為が是正されなければ、今後10年間、インターネット検索だけでなく、AIのような新しい技術においてもGoogleが支配する可能性があると警鐘を鳴らしている。
一方、Googleは裁判所に対し、現状維持を求めている。同社は、現状には「何も問題はない」と主張している。さらに、司法省が提案する救済策を「危険で無責任だ」と強く批判している。
また、Googleは前日の20日にブログ記事を公開し、司法省の広範な救済策は米国の経済と技術的リーダーシップを損なうと主張した。司法省の提案は、ユーザーが好むサービスへのアクセスを困難にし、検索配信の権利を巡る競争を妨げ、利用者の機密性の高い検索クエリを許可なく他の企業と共有させ、AI開発を妨げ、ChromeとAndroidの分離を強いる可能性があると指摘している。
Googleは、裁判所の責任決定には同意せず控訴する意向だ。同社は「この決定は、Googleが最高の検索エンジンを提供していると認めながらも、それを簡単に利用できるようにすべきではないと結論付けている」とし、「人々がますます多くの方法で情報を探している中で、控訴する予定だ」との声明を発表した。
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