米司法省、Googleを独禁法違反で提訴 Googleは「ユーザーがわれわれを選んでいる」
米司法省がGoogleを独禁法違反で提訴した。検索および検索広告市場を不法に維持していると指摘。Googleは、この訴訟は「ひどい欠陥」があるとし、「ユーザーは強制されてではなく、自らGoogleを選んでいる」と主張する。
米司法省(DoJ)は10月20日(現地時間)、11の州司法長官とともに、米Googleを独禁法違反で提訴したと発表した。検索および検索広告市場での反競争的、排他的慣行で市場独占を不法に維持しているとしている。
ウィリアム・バー司法長官は声明文で「インターネットの門番であるGoogleの独占を阻止することは、司法省と米国民の両方にとって記念碑的なこと」と語った。
司法省がIT企業を独禁法違反で提訴するのは1974年のAT&T、1998年のMicrosoft以来だ。
司法省は昨年7月からGoogleを含む複数のIT企業を独禁法違反の疑いで調査してきた。
訴状(PDF)では、Googleが検索市場を支配する目的で、スマートフォンメーカーに他の検索サービスをプリインストールしないよう契約でしばったり、スマートフォンからプリインストールした自社アプリを削除できないようにしたり、米AppleとWebブラウザの検索サービスとしてGoogle検索を標準にする契約を結んだことなどを指摘している。
Googleは同日、「消費者を助けるためにならないひどい欠陥のある訴訟」と題する長文の公式ブログでこれに反論した。
同社は「人々がGoogleを使用するのは、強制されたり、代替手段が見つからなかったりするためではなく、自らGoogleのサービスを選択したからだ」と主張し、訴状が指摘した問題点について1つずつ反論している。
例えば、AppleがSafariブラウザでGoogle検索を採用しているのは、AppleがGoogle検索が最善だと評価したためであるし、検索サービスをSafariに搭載してもらうためにAppleと契約を結んでいるのはGoogleだけでなく、Microsoft(Bing)とYahoo!もAppleに対価を支払っていると説明した。
Googleは「米国の独占禁止法は、イノベーションを促進し、消費者を支援することを目的としており、特定の競合他社に有利に競争を歪めたり、人々が望むサービスを利用しにくくしたりすることではない。裁判所が、この訴訟は事実または法律のいずれとも一致しないと結論付けると確信している」としている。
Microsoftの独禁法訴訟は終了までに約12年かかった。この訴訟もすぐには終わらないだろうが、Googleが敗訴すれば、事業分割の可能性もある。
関連記事
- 米下院司法小委員会、「GAFAは分割すべき」 調査報告書公開
Google、Apple、Facebook、Amazonについて約16カ月にわたって調査してきた米議会下院の独禁法小委員会が、長大な報告書を公開した。デジタル市場での健全な競争を回復させるため、4社はそれぞれ分割し、企業買収についても規制を強化すべきと提案している。 - Googleを50の州と地区の司法長官が独禁法調査「ネットを支配している」
米国の48州とワシントンD.C.、プエルトリコの司法長官が、Googleを独禁法違反の疑いで調査すると発表した。Googleに対しては、米司法省も独禁法調査を開始している。 - EU、Googleに過去最高43億ユーロ(5703億円)の制裁金 Androidでの独禁法違反で
EUが2015年から進めていた調査の結果、GoogleはAndroidで独禁法に違反しているとして43億ユーロの制裁金を科すと発表した。企業への制裁金としては過去最高額。Googleは上訴する構えだ。 - Google、米当局もAndroid関連で独禁法違反容疑の調査開始──Bloomberg報道
GoogleがAndroid端末メーカーに純正アプリのプリインストールを要請することが独禁法に違反する疑いがあるとして、米連邦取引委員会(FTC)が調査を開始したとBloombergが報じた。この件については欧州連合が4月から正式調査を進めている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.