睡眠の量と質、「唾液」でチェック 産総研が新技術を開発
産総研は、唾液中の代謝物から睡眠不良を判定する新技術を開発した。今後、特定した代謝物を計測する試薬キットや簡易デバイスの開発を進めるという。
産業技術総合研究所(産総研)は4月21日、唾液中の代謝物から慢性的な睡眠不良を判定する技術を開発したと発表した。6種類の代謝物の濃度データを用いて、睡眠不良の有無を高い確率で判断できるという。
近年ではウェアラブルデバイスの普及により、日ごとの睡眠時間や睡眠の質は簡便に計測可能となった。しかし、慢性的な睡眠障害を評価するには長期的な評価が求められる。従来の評価手法としては、自己申告による「ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)」が広く使われているが、主観に依存するためバイアスがかかりやすく、経時変化の追跡が難しいといった課題があった。
今回の研究には、同研究所の細胞分子工学研究部門と人間情報インタラクション研究部門、茨城大学の研究者が参加した。45〜60歳の日本人男性730人を対象にPSQIで睡眠状態を評価し、その中から睡眠に問題のない50人と睡眠不良とされた50人の唾液を採取。
半数以上の被検者から得られた435種類の代謝物のデータを解析し、「トリメチルアミン」「グリセロール」といった、睡眠状態の分類に有効な6種類の代謝物を特定した。これらの代謝物を用いて、睡眠不良を予測する判別モデルを作成したところ、PSQIスコアによって判定した睡眠不良者を86.6%の確率で判別できることが分かったという。
産総研は今後、特定した代謝物を計測する試薬キットや簡易デバイスの開発を進める方針としている。
今回の研究成果は、英科学誌「Scientific Reports」オンライン版に21日付で掲載された。
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