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逃げる際に“走る”カタツムリ発見 最大で秒速1.35mm 京大「野外で効果あるかは不明」
京都大学は、カタツムリの一種「エゾマイマイ」が天敵に襲われた際、走って逃げる行動を取ることを示したと発表した。
京都大学は11月21日、カタツムリの一種「エゾマイマイ」が天敵に襲われた際、走って逃げることが分かったと発表した。研究チームが実験したところ、外部刺激によってエゾマイマイの歩行速度が秒速1.05mmから秒速1.27〜1.35mmまで速くなった。「“走って逃げる”のは初めての報告になると思われる」(研究チーム)という。
エゾマイマイは主に北海道に生息するカタツムリ。天敵であるオサムシ類に遭遇した際、“殻を振り回して撃退する”という珍しい行動を取る。研究チームは、カタツムリの移動能力を調べるためエゾマイマイと、天敵に遭遇すると殻に引きこもる“内気な種”である「ヒメマイマイ」で比較実験を行った。
天敵からの攻撃を模した外部刺激を与えて比較したところ、エゾマイマイは外部刺激によって移動速度が1.2〜1.3倍ほど上昇することが分かった。このことから「エゾマイマイは捕食者に襲われると殻を振り回すと同時に“走って逃げる”という世界的にも知られていない対捕食者行動を取ることを示した」と研究チームは説明する。
一方、エゾマイマイの通常時の平均速度は秒速1.05mmで、刺激後の平均速度が秒速1.27〜1.35mm程度。そのため「実際に野外でどれほどの効果を発揮するのかはこの研究からは推定できない」(研究チーム)という。
この研究成果は国際学術雑誌「Behaviour」にて10月31日付でオンライン掲載された。
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