“不正取引”被害への補償、各社の対応は? SBI証券・楽天証券は「対象顧客には月内に案内開始」
SBI証券、楽天証券、SMBC日興証券は5月2日、フィッシング詐欺による不正アクセスと不正取引の被害に対し、一定の補償を行う方針を発表した。日本証券業協会が公表した証券10社による申し合わせを踏まえたもので、いずれも該当の顧客には順次、個別に連絡するとしている。
SMBC日興証券、SBI証券、楽天証券は5月2日、フィッシング詐欺などによる証券口座への不正アクセスと不正取引(第三者による売買)の被害について、一定の補償を行う方針をそれぞれ発表した。日本証券業協会(日証協)が同日公表した、証券会社10社による申し合わせを受けた対応となる。
SMBC日興証券は同日、被害状況を精査した上で、個別の事情を踏まえて「被害補償の可否や内容を検討する」と発表。案内時期については明示していない。ID・パスワードの管理状況やセキュリティ設定などによっては「補償できない場合もある」として、ログイン時のワンタイムパスワードの設定といった対策を改めて呼び掛けている。
SBI証券は、具体的な補償内容や手続きの案内について、5月末をめどに順次案内すると発表した。補償内容の確定までには「相応の時間」が掛かるため、個別の問い合わせには対応できないとしている。「被害状況を十分に精査し、迅速な補償に努める」。
楽天証券は被害の申告があったケースに加え、同社が不正の可能性を確認した取引についても、対象顧客に連絡する予定。手続きなどの詳細は、5月中旬以降に案内するとしている。申し合わせに準じ、「お客さま個別の状況に応じて、一定の補償を行う」とした。
日証協の申し合わせでは、「各社の約款などに関係なく、2025年1月以降に発生した不正アクセスによる被害について、一定の補償を行う」方針で合意。顧客側の被害状況やID・パスワードの管理状況、証券会社側の注意喚起といった対策を踏まえ、「個別の事情に応じて対応する」としている。手続きについては、各社が決定次第、個別に案内する予定としていた。
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