AWS、事実上無制限にスケールするPostgreSQL互換の大規模分散DB「Amazon Aurora DSQL」正式版を提供開始
米Amazon Web Services(AWS)は、事実上無制限にスケールするPostgreSQL互換の大規模分散データベース「Amazon Aurora DSQL」の正式版を提供開始したと発表しました。
この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「AWS、事実上無制限にスケールするPostgreSQL互換の大規模分散DB「Amazon Aurora DSQL」正式版を提供開始」(2025年6月2日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
米Amazon Web Services(AWS)は、事実上無制限にスケールするPostgreSQL互換の大規模分散データベース「Amazon Aurora DSQL」の正式版を提供開始したと発表しました。
Amazon Aurora DSQLは昨年(2024年)12月のイベント「AWS re:Invent 2024」で発表された、サーバレスな大規模分散データベースです。
1つのリージョン内で3つのアベイラビリティゾーンにまたがる構成、もしくは複数のリージョンにまたがる構成において、自動スケーリングと自動障害復旧機能を備えたActive-Activeなクラスタを実現できます。
分散処理による高いスケーラビリティおよび複数のアベイラビリティゾーンやリージョンによる冗長構成による高可用性の両方を実現するだけでなく、複数リージョンのような広域での分散データベースにおいてトランザクション処理による強い一貫性を実現する際の弱点とされていたレイテンシの大きさを克服し、小さなレイテンシによる高速性も兼ね備えたPostgreSQL互換のデータベースだと説明されています。
開発をRust言語にして当初性能が10倍に
また、Amazon Aurora DSQLの開発過程を紹介したAmazon.com CTO Werner Vogels博士のブログ「Just make it scale: An Aurora DSQL story」によると、Amazon Aurora DSQLは当初はJavaVM上のKotlinで開発されたものの、バグの混入を避けるためなどの理由でメモリ安全なRust言語での開発に切り替えたところ、それだけで性能が約10倍向上したとも説明されています。
マイクロ秒単位の正確さでサーバの時刻を同期
一般に、地理的に十分離れた複数のリージョンに分散したノードが連携して稼働する大規模分散データベースでは、強い一貫性を実現するために何度も行われるノード間の通信に時間がかかることで、処理ごとに大きなレイテンシが発生しやすい構造となっています。
Amazon Aurora DSQLは、サーバ上のリファレンスクロックと衛星通信によってマイクロ秒の単位で正確な時刻の同期を行う機能を用いたタイムスタンプにより各インスタンスがいつ何の処理を行ったかを正確に知ることができます。これを利用して最小限のノード間の通信による小さなレイテンシで、全体として強い一貫性を実現していると説明されています。
Amazon Aurora DSQLはアジアパシフィックの東京と大阪の両リージョンに加えて、米国東部 (バージニア北部)、米国東部(オハイオ)、米国西部(オレゴン)、欧州(アイルランド)、欧州(ロンドン)、欧州(パリ)のリージョンで利用できます。
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