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“痛み”は音で伝搬する──東京理科大 「ストレス音のない医療環境が重要」
東京理科大学の研究チームは18日、痛みを感じているマウスの近くにいるマウスが、物理的な損傷がないにも関わらず痛みを感じる現象「感情伝達」が、発生音によって引き起こされるとする研究成果を発表した。
東京理科大学の研究チームは7月18日、痛みを感じているマウスの近くにいるマウスが、物理的な損傷がないにも関わらず痛みを感じる現象「感情伝達」が、発生音によって引き起こされるという研究成果を発表した。「今後、痛みをどうコントロールするかに影響を与える新発見」。
マウスは主に超音波領域の音でコミュニケーションを取るといわれているため、痛みを感じている時のマウスの鳴き声を録音し、20kHz以上の音域(超音波)のみを取り出した。80dbで3時間、別のマウスに聞かせたところ、翌日と3日後に痛覚が過敏になっていた。
マウスの視床を確認すると、脳で炎症が起きた形跡がみられ、サウンドストレスが脳内炎症を誘発することが分かった。治療薬を投与すると痛覚過敏は改善したが、さらにサウンドストレスを与えると回復期間は長くなり、鎮痛効果も弱くなった。
研究チームは「サウンドストレスは脳内に炎症を引き起こし、痛覚過敏になるだけでなく、炎症性の疼痛を悪化させ、治療を困難にする一因となる」として、痛みや回復を悪化させるストレス音のない医療環境が重要と指摘している。今後、研究を進めることで「科学的根拠に基づく新たな痛みの管理治療戦略の開発を導くことが期待される」。
研究成果は、7月9日付で国際学術誌「PLOS One」オンライン版に掲載された。
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