“スマホ1日2時間条例案”が「余計なお世話」と物議 豊明市は「理念条例」と説明も残る疑問【条例案の全文あり】(1/2 ページ)
愛知県豊明市が発表した、市民が余暇の時間にスマートフォンなどを使う時間を1日あたり2時間までとする条例案が、SNSで「余計なお世話」「ただの話題作り」などと物議を醸している。市の担当者に詳しい話を聞いた。
愛知県豊明市が発表した、市民が余暇の時間にスマートフォンなどを使う時間を1日あたり2時間までとする条例案(以下、スマホ条例)が、ネット上で「余計なお世話」「ただの話題作り」などと物議を醸している。何を目的としているのか、そして法的な強制力はあるのか──市の担当者に詳しい話を聞いた。
条例の正式名称は「豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例」。スマホやPC、ゲーム機などの過度な使用は身体面、精神面および生活面に悪影響を及ぼすとして、仕事などを除く余暇時間のスマホ使用を1日あたり2時間以内を目安とした。また小学生以下は午後9時、中学生以上は午後10時以降の使用は控えるよう促す。
スマホ条例は、8月末に始まる定例の市議会を経て、10月1日に施行される予定だ。対象は全市民。ただし違反しても罰則はない。
罰則がない理由について豊明市は「これくらいの時間(1日2時間)にすることを促すという、あくまでも理念的な条例であるため」と話す。いわゆる「理念条例」だという。
理念条例とは、自治体がその基本方針や町作りの方向性などを示すための条例のこと。住民に義務を課したり、権利を制限したりする一般的な条例(政策条例)と異なり、法的な強制力は持たない。
「例えば“歯を大事にしよう”というテーマの理念条例は多くの自治体で制定している。これは自治体としての方向性を示し、行政、医師会などで役割分担を決めるためのもの」。
この他、代表的な理念条例としては、2010年代に日本各地で制定された「乾杯条例」と呼ばれるものがある。地場産業の振興などのため地元産の酒で乾杯しようと勧めるもので、2013年の京都市を皮切りに全国で140を超える自治体が制定した。
乾杯条例はルールを決めるというより、話題性による住民へのPR効果を狙ったものが多かった。
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