“圧縮機能”付きリュックにみる、防災グッズの新潮流 ポイントは「どうせ使うものなら」:分かりにくいけれど面白いモノたち(4/5 ページ)
今回はキングジムが立ち上げた新防災ブランド「KOKOBO(ココボ)」と、ace.(エース)ブランドから26日に発売される「スペースオプト」を例に、日常と防災をメーカーはどのようにつなごうとしているのかを取材してみた。
「サンプルを作ってみたら、水を通さない仕様になっていたんですよ。生地に加工がされていて、『これなら水も通さないな』と。であれば、フェーズフリーの機能としても打ち出しやすいですし、ちょうど営業から『もう一つ機能が欲しい』と要望もあったので、防災の要素を組み合わせれば、さらに魅力的な商品になると考えました」。
実際、これは使ってみると分かるのだけど、この圧縮部分に使われている止水ファスナーが、ちょっとビックリするくらい固くて、開閉が大変なのだが、逆にいえば、この止水ファスナーを使わなければならないくらい、圧縮機能というのは密閉を必要とするわけだ。
多くのバッグで使われている止水ファスナーをうたったものは、実際はコーティングで水を通しにくくしているコーティングファスナーが多い。それは正式な止水ファスナーでは、バッグとしての使い勝手に影響が出てしまうからだ。もちろん、「スペースオプト」では本物の止水ファスナーの開閉のしにくさを少しでも解消する工夫はなされている。
ファスナーの引き手はフックが左右に出ていて二本の指を引っ掛けられるし、ファスナーが付いている部分の両端にはD管が付いていて、ここにも指を引っ掛けられる。片手の指をD管に引っ掛け、もう片方の手の指を引き手に引っ掛けて思い切り両側に引っ張るのだ。慣れれば、まあ非力な人でもどうにか使える。
大事なのは、閉める時、きちんと最後まで引っ張ること。ここが少しでも開いていると、空気が漏れて中に入れた衣類などもふくらんでしまう。
それだけの密閉状況をバッグの中に作れるわけで、これは中々強力な機能だ。それこそ、洗濯物が乾く前に出発しなければならない時、ゲリラ豪雨の中、ノートPCを持って出掛ける時、高価な古書を手に入れた時にも、この圧縮部分に入れておけば、うっかり傘やペットボトルをバッグの中に入れてしまっても安心。わざわざ圧縮袋を、そんな風な用途に使うためにバッグの中に常備することはないけれど、内蔵されているなら使う。
「圧縮機能をどんな風に使うかは、お客さまに委ねる形にしています。圧縮できるというメリットは伝えるべきだとは思いますけれども、必ずしも圧縮しないといけないわけでもないので」と白石さんも話す。
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