「明らかに塩気を感じる」――電気で塩味アップ? キリンの“食器型デバイス”に新作、減塩スープを飲んでみた(2/2 ページ)
電気の力で減塩食をおいしくする――そんなコンセプトでキリンが開発を続けてきた「エレキソルト」シリーズ。スプーン型に続き、カップ型の「エレキソルト カップ」(2万6950円)が新たに加わった。その効果のほどは。
美容家電メーカーと協力
なお、佐藤氏によれば、ユーザーの声を受けて当初試作したのは「お椀型」のデバイスだった。しかし、お椀は持ち方や触れる部位に個人差があることから「電流が安定して流れる回路」を作ることが難しかったとのこと。最終的にカップ型に切り替え、誰もが自然に握る「持ち手部分」に電極を設けたことで、安定した効果の再現が可能になったのだという。
製品化にあたっては、美容家電メーカーのヤーマンが技術協力した。「顔に電気を流し、化粧水を浸透させる」という美顔器の技術は、「舌に電気を流す」エレキソルトと原理的に近いのでは――キリン側がそう着目したことがきっかけで協力が実現し、通電技術や防水設計、小型化のノウハウやデザイン性の高さをカップとスプーンの双方に取り入れたという。
ヤーマンの小島英明氏(開発本部 開発企画部)は「カトラリーは初の領域だったが、オーラルケア製品などを手掛けていたこともあり、これまで培った知見を生かせた。技術的な相性は非常に良かった」と話す。
エレキソルトの販売は公式オンラインストアで同日に開始し、11月以降はハンズやビックカメラなどでも取り扱う予定。2026年にはアジア圏での販売も視野に展開を進めるとしている。
キリンによれば、これらの技術は他の食器にも応用可能なもので、「他のバリエーションの開発も進めている」という。減塩の課題をテクノロジーの力で乗り越えるアプローチは、今後どこまで広がっていくだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
電気の力で“塩味を増強” キリン「エレキソルト」にカップ登場 スプーンも新型に
キリンホールディングスは9月9日、微弱な電流で減塩食品の味を引き立てる食器「エレキソルト」シリーズの新製品を発売した。すでに発売していたスプーンをリニューアルした他、新たにカップをラインアップとして加えた。
薄味カレーのうま味倍増! キリン「エレキソルト」は“塩味増強”だけじゃない 〜体験レポート
キリンが、減塩食品の塩味やうま味を増強する食器型デバイス「エレキソルト スプーン」を発売した。ヘルスサイエンス領域の新規事業としてスタートした「エレキソルト」だが、実際にどれぐらいの効果があるのか。エレキソルトデバイス開発者である佐藤愛さんに開発の経緯を聞きつつ、実際に試してみた。
“塩分30%オフ”とんこつラーメン、一風堂が限定販売 電気で塩味増す食器「エレキソルト」活用
力の源カンパニーが運営するラーメン店「一風堂」は、減塩ラーメン「減塩白丸元味」を期間限定販売すると発表した。とんこつラーメン「白丸元味(通常トッピング)」から塩分を30%オフしているという。
電気の力で塩味増強 「エレキソルトスプーン」発売 キリンの新事業
電気の力で減塩食品の塩味やうま味を増強するという食器型デバイス「エレキソルト スプーン」をキリンが発売へ。
味の素「電気調味料」発表 皮膚への電気刺激で減塩食を“しょっぱく”するネックバンド型デバイスなど開発へ
味の素は、皮膚への微弱な電気刺激で食品の味を調節する「電気調味料」を発表した。ネックバンド型や耳掛け型のデバイスを用い、様々な減塩食の塩味を増強できるという。


