Amazon、FTCに和解金25億ドル支払いへ 「プライム会員」巡る訴訟で
米連邦取引委員会は、Amazonが顧客を騙しプライム会員に登録させた「ダークパターン」を巡る訴訟で、同社が25億ドルの和解金を支払うと発表した。Amazonは登録・解約プロセスを大幅に改善することが義務付けられる。
米連邦取引委員会(FTC)は9月25日(現地時間)、米Amazon.comが顧客を欺いてプライム会員の登録を獲得したとして申し立てた訴訟で、Amazonが25億ドル(約3750億円)の和解金を支払うと発表した。和解金の総額25億ドルは、10億ドルの民事罰(FTC規則違反の事案としては過去最高額)と、不正なプライム登録や解約の遅延によって被害を受けた推定3500万人の消費者への返金を目的とした15億ドルの救済金で構成される。
FTCは2023年6月21日にこの訴訟を提起した。申し立てによると、Amazonは消費者を無意識のうちにプライム登録に誘導するために、「ダークパターン」と呼ばれる紛らわしい欺瞞的なユーザーインタフェースを作成したとされる。さらに、同社は消費者がプライム会員の解約を試みる際に、意図的に複雑で困難なプロセスを作り上げ、解約を阻止することを目的としていたとされている。実際に、プライムのキャンセルを完了するには、デスクトップで5クリック、モバイルで6タップが必要であったとも指摘されていた。
今回の和解の一環として、Amazonは不正行為を停止し、プライムの登録および解約プロセスに大幅な変更を加えることが義務付けられた。主な和解条件は以下の通り。
- 顧客がプライムを拒否するための、明確で目立つボタンを設置する
- プライム登録プロセスにおいて、費用、請求の日付と頻度、自動更新の有無、解約手続きなど、プライムのすべての重要な条件について明確かつ目立つ形で開示する
- 消費者が登録に使用したのと同じ方法で、簡単で時間や手間のかからないプライムの解約方法を提供する
- Amazonの消費者救済金分配プロセスへの準拠を監視するため、独立した第三者の監督者にかかる費用を支払う
Amazonは同日、声明を発表し、「常に法律を順守してきた」 と主張しつつ、この和解によって「前進し、お客様のために革新することに集中できる」と述べた。さらに、今後も世界中の数百万人のプライム会員に「大きな価値を提供し続ける」 とした。
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