IIJへのサイバー攻撃はあったのか? 犯行声明の添付ファイル、根拠にならず
あるサイバー攻撃グループが「IIJのサーバーに侵入した」と主張している。IIJは5日に声明を発表したが、被害の有無などは明確には伝えていない。
あるサイバー攻撃グループが「IIJのサーバーに侵入した」と主張していると、脅威検知&追跡プラットフォームを提供するHackmanacのXアカウントなどが11月5日に伝えた。同日、IIJも声明を発表したが、被害の有無などは明確に伝えていない。
Hackmanacの投稿によると、KaruHuntersと名乗るサイバー攻撃グループが、IIJのサーバーに侵入したとして「流出したデータにはAndroid開発やマルチメディアライブラリに関連するソースコードリポジトリ(ソースコードと関連ファイルなど)の大規模なコレクションが含まれる」と主張しているという。流出したとされるファイルも添付していた。
これに対し、IIJは公式Xアカウントで「添付されたファイルは当社が設置する公開ftpサーバ(オープンソースソフトウェアなどの配布用)にある、IIJ以外の開発グループが作成したファイルと同一であることを確認している」と明らかにした。どういう意味か。
IIJの説明によると、ファイルは特定したものの、もともと誰でもダウンロードできる環境にあった上に、外部で作られたものでIIJのサーバー以外にも入手する手段はある。つまりサイバー攻撃による情報流出の証拠にはならないものだった。
また当該サーバーには多くの人にダウンロードされたログは残っているものの、攻撃を受けたと判断されるようなエビデンスは見つかっていない。しかし犯行グループの「IIJのサーバーに侵入した」という主張がネット上で話題になっていたため、IIJは明らかな事実だけを公表した、という経緯のようだ。
6日正午時点で犯行グループからの明確なコンタクトはなし。IIJは「似た事例は過去にもあった」としながらも、不測の事態に備えて「警戒レベルを上げ、状況を注視している」という。
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