Microsoft、NVIDIA、Anthropicが戦略的提携 ClaudeをAzure上で大規模展開

Microsoft、NVIDIA、Anthropicは、戦略的提携を発表した。Anthropicへの合計150億ドルの投資が含まれる。Anthropicは「Claude」をAzure上でスケールさせ、300億ドル分のAzure利用を確約。ナデラCEOは「お互いの顧客になる」とし、ゼロサム競争からの脱却を訴えた。

[ITmedia]

　米Microsoft、米NVIDIA、米Anthropicは11月18日（現地時間）に戦略的提携を発表した。この提携には、Anthropicに対するMicrosoftによる最大50億ドル、NVIDIAによる最大100億ドルの合計150億ドル（約2兆3300億円）の投資が含まれる。

　この提携は、AnthropicのAIモデル「Claude」を、NVIDIAの技術を採用する「Microsoft Azure」上でスケールさせることを中心としている。Anthropicは、300億ドル分のAzure計算能力の購入と、NVIDIAとの技術提携のもと、「Grace Blackwell」および「Vera Rubin」による最大1GWの追加の計算能力の契約をコミットした。

　これにより、Azureの顧客はモデルの選択肢が広がる。Microsoft Foundryの顧客はAnthropicのフロンティアモデルにアクセス可能になる。また、Microsoftは、GitHub Copilot、Microsoft 365 Copilot、Copilot Studioを含むMicrosoftのCopilotファミリー全体でClaudeへのアクセスを継続して提供する。

　Microsoftのサティア・ナデラCEOはAnthropicとの関係を「お互いの顧客になる」とし、「業界として、ゼロサム的な物語（誰かの利益が必ず他の誰かの損失となるという見方）や勝者総取りの誇大広告を超越する必要がある」と語った。

　Anthropicのダリオ・アモデイCEOは、Microsoftとの市場開拓における協力を通じて、技術の普及を加速させ、世界にインテリジェンスを提供することに意欲を示した。

左から、Anthropicのダリオ・アモデイCEO、Microsoftのサティア・ナデラCEO、NVIDIAのジェンスン・フアンCEO

　NVIDIAとAnthropicのパートナーシップでは、設計とエンジニアリングで協力し、AnthropicのAIモデルのパフォーマンス、効率、TCOを最適化し、将来のNVIDIAアーキテクチャをAnthropicのワークロード向けに最適化することを目指す。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、「Grace BlackwellとMVLinkでClaudeを加速させることで、桁違いのスピードアップを期待している」と述べた。

　この3社提携は、Microsoftにとっては、顧客へのインフラとモデルの選択肢を提供するためのコミットメントを深め、Anthropicから300億ドル規模のAzure利用のコミットメントを得ることがメリットだ。Anthropicにとっては、合計150億ドルの投資を受け取るだけでなく、エンタープライズ市場進出チャネルを持つインフラであるAzureと、AIブームを可能にしたNVIDIAの技術とエコシステムを利用できることがメリットだ。NVIDIAのフアンCEOは、強いエンタープライズ市場開拓力を持つMicrosoftと、最先端のAIモデルを開発するAnthropicと協力することで、AIを広めることができると語った。