コラム
暗号資産が“まともな投資対象”に? 税率軽減にインサイダー規制──26年の金商法改正で何が変わるか(4/4 ページ)
金融庁が暗号資産を金融商品取引法の対象とする方針を固めたと報じられた。個人投資家にとっては手取りが増え、機関投資家にとっては参入の壁が下がる。投資家に起こる変化は。
「厳しすぎた規制」と「足りない規制」のバランス調整
26年の法改正まで、あと1年余り。日本は17年に世界に先駆けて暗号資産交換業者の登録制度を導入した。しかし、厳格すぎる規制と高い税率が投資家の参入を阻み、市場の成長は限定的だった。
今回の改正は、その「厳しすぎた部分」と「足りなかった部分」を同時に調整する試みだ。税制を株式並みに緩和する一方で、インサイダー取引規制や情報開示義務を導入する。投資家保護を強化しながら、市場の拡大も目指す。
この改正が成功すれば、日本は「安全で透明性の高い市場」として、機関投資家を引きつける可能性がある。グローバル市場での競争力も高まるかもしれない。
ただし課題も残る。今回の規制対象は105銘柄だけで、数万種類あるとされる暗号資産の大半は対象外だ。DeFiの規制枠組みも議論中だ。完全に「まとも」になるには、まだ道のりがある。
そして忘れてはいけないのが、トレードオフだ。ルールが整備されれば安全性は上がるが、暗号資産が持っていた自由度や革新性は制約を受ける。「まともになる」ことは、暗号資産の本質的な魅力を薄めることでもある。
日本の暗号資産市場は、規制と成長のバランスを取り直す段階に入った。2026年は、その答えが見え始める年になるかもしれない。
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