「S-netがめちゃくちゃ仕事してる」 震災後に作られた海底観測網、青森県の地震で注目を集める
8日の午後11時15分ごろに青森県東方沖で発生した最大震度6強の地震。その速報を見ていた一部のSNSユーザーから驚きの声が上がっていた。
「P波でさえも到達する前に緊急地震速報が出ている、これが日本海溝海底地震津波観測網(S-net)の力だ」「S-netがめちゃくちゃ仕事してる」──12月8日の午後11時15分ごろに青森県東方沖で発生した最大震度6強の地震。その速報を見ていた一部のSNSユーザーから、そんな驚きの声が上がった。
S-netは、防災科学技術研究所(以下、防災科研)などが運用する「日本海溝海底地震津波観測網」(通称:S-net)のこと。2011年の東日本大震災の教訓をもとに作られた新しい地震・津波観測網だ。
何が新しいのか。防災科研の資料によると、従来の津波警報や注意報は、陸上の地震観測データを使って地震規模を推定し、その情報から沿岸における津波の高さを予測していたという。このため陸地から離れた海域で発生した巨大地震による津波などを正確に予測することは難しかった。
実際、東日本大震災では、地震規模がM7.9と過小評価され、津波の高さも当初は6mと予測された。警報が更新されたのは、地震発生から約30分が経過し、沖合で実際に大きな津波が観測されてからだったという。
そうした状況を変えるため、防災科研は陸上に加えて海域でも地震や津波を観測する「世界でも類を見ないほど大規模」な観測網を構築した。北海道から千葉県までの太平洋側の海底に総延長約5700kmのケーブルを敷設し、150地点に地震計や津波計(水圧計)を一体化した観測装置を設置。2016年に一部運用を始め、翌17年11月からは全150点を運用している。
S-netにより、地震や津波を観測できる範囲は沿岸から200kmも延長された。なにより、沖合で地震が発生した場合には、より震源に近い場所で地震や津波をリアルタイムに捉えることが可能になった。気象庁の資料によると「北海道、東北、関東地方の太平洋沿岸では津波の検知が最大で約25分程度早くなる」という。
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