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未知なる存在「第5の力」とは何か? 星の冷え具合から探索する研究、国際研究チームが発表 過去最高精度の絞り込みに成功(2/2 ページ)

宇宙には4つの基本的な力「基本相互作用」が存在する。しかしこれらの他に、未知の力である「第5の力」が存在すると予言する理論がある。ドイツの研究機関は、これまでにない精度で、この第5の力の性質を絞り込むことに成功した。

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中性子星の冷たさから第5の力を探索


中性子星の想像図(Credit: Casey Reed)

 フィオリッロ氏などの研究チームは、宇宙にある「中性子星」という天体を観測するというアプローチで第5の力の存在の検証を行いました。中性子星とは、太陽の8倍以上の重さの恒星が、その寿命の最期に遺す天体です。恒星の中心核にあった原子核が限界まで押し込められ、ギチギチに詰まった高密度の天体であり、いわば1個の巨大な “原子核” です。

 中心で核融合をしている恒星とは異なり、中性子星そのものは何の活動もせず、エネルギーを生産しません。このため中性子星は徐々に冷えていく一方であり、その冷却速度は、4つの基本相互作用を元に予測できます。

 しかし、ここに第5の力が加わると話が変わってきます。今回の研究の場合、第5の力を媒介する素粒子は「スカラー粒子」(スピンが0の粒子)であると仮定され、原子核と相互作用し、原子核からエネルギーを放出させる物理過程が生じると考えられてます。

 もう少し簡単に言うとこうなります。原子核を構成する陽子や中性子がお互いに力を与え合うと、既に知られている現象に加えて、第5の力を媒介する素粒子を新たに生成し、原子核から逃げ出すと予想されます。原子核は生成した素粒子の分だけエネルギーを失い、温度が下がることになります。つまり第5の力があれば、天体は予想よりも早くエネルギーを失い、冷えていくということです。

 このような冷却過程は、恒星や白色矮星でも生じていると考えられます。しかし中性子星はこれ以上ないほど陽子や中性子の距離が近く、密度が高い天体です。このため、他の天体と比べても冷却速度の違いが顕著に表れると考えられます。

第5の力の絞り込みに成功

 フィオリッロ氏らは、他の天体から影響を受けないほど孤立している5つの中性子星を観測し、その年齢から理論的に予想される温度と、実際の温度との間にズレがないかどうかを調査しました。

 余談ですが、今回調査した中性子星のうちの4つは、通称「マグニフィセント・セブン (The Magnificent Seven)」と呼ばれている7つの中性子星の一部です。直訳すれば「壮大な7人」ですが、これは映画『荒野の七人』の原題に準えた通称です。


このグラフでは、第5の力が存在しないことが明らかにされた範囲に色が塗られています 今回の研究で、第5の力の存在が否定された範囲は赤色で示されています 天体を観測した他の研究よりも範囲が広いことが分かります(Credit: Damiano F.G. Fiorillo, et al./筆者により日本語訳)

 観測結果と理論の照らし合わせの結果、中性子星に理論的予想を超えた過剰な冷却は見つかりませんでした。これ自体は残念な結果かもしれませんが、一方でこのジャンルの研究としては大きな成果です。天体を観測して第5の力を探索する試みは他にもありますが、今回の研究では第5の力を媒介する素粒子の質量を4桁、第5の力が原子核と相互作用する強さを2桁改善しており、過去最高の精度で第5の力の存在範囲を絞り込んでいます。

 今回の研究では、第5の力を媒介する素粒子をスカラー粒子であると仮定しています。このため、例えば他の基本相互作用と同じくゲージ粒子(スピンが0ではないボース粒子)である場合には、今回の研究手法は当てはまりません。しかし仮にそうだとしても、中性子星を冷却する別の物理過程にも関与するため、中性子星の冷却速度から第5の力の性質を絞り込むことは引き続き可能です。

 今回の研究結果は、天体観測が未知の相互作用の探索に適しているという事例の1つとして掲げられます。

参考文献

Damiano F.G. Fiorillo, et al. “Leading Bounds on Micrometer to Picometer Fifth Forces from Neutron Star Cooling”. Physical Review Letters, 2025; 135(21)211003. DOI: 10.1103/tlqz-713s

Ingrid Fadelli.(Dec 5, 2025)“Probing the existence of a fifth force via neutron star cooling”. Phys.org



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